でもねもしかして、ほんとにプロになれちゃうかもしれないよ⁉

作品は作者のものかもしれないけれど、本は一人では作れないことに気づかせてくれる作品。
すべてのクリエイターは、こうして世に生まれていくのかもしれない。

中学生でありながら「まるでプロが書いた小説みたい」といわしめる平川くんの作品を、ぜひ読んでみたい。

カクヨム甲子園に応募される高校生のみなさんのなかには、「本当に高校生が書いたの? この作品を」と疑いたくなるような、度肝を抜かれるといってもいい小説に出会うときがある。
素直に、すごいと感激し、感嘆する。
こういう子たちが、ゆくゆくは作家となり、本を出していくのだろう。
主人公の彼女のような感想を抱くことが多々あるので、気持ちはよくわかる。

クリエイターは職人さんなので、もの作りには長けている。
でも、販売には疎い。
対面販売やネットでの作品発表にしても、宣伝広告は欠かせない。
よく減っていたのは、クラスの友達に宣伝していたから。
二年生や三年生は、一年生よりも交友関係が広いので、減りが多いと思う。
あとは、リアルの友達がどれだけいるかでも、差が生まれる。

小説部分はたしかに作家が書くけれども、編集や校正、表紙のイラストを書く人もいれば、印刷所の人はもちろん、書店へ営業をかける人もいる。たくさんの人の協力があって、はじめて本は作られて読みたい人に届けられている。
一人では作れない。
プロを目指している彼は、そういうことにも気づけたのかもしれない。

来年の文化祭に彼と再会したとき、どんな話をするのだろう。
そのときは、何度も読んでいるうちにページの端は黒ずんで角が丸まってしまった二人の作品を持っていくかもしれない。