詩「よう、イモリ」

イモリの歩いているのに会った

「よう」

声をかけてやり、近くの畑の畦道、水の近くに置いてやった

(※うちの畑の畦道です)

これからどうするつもりなのだろう


こんな師走間近な時期に、車道の真ん中を、イモリが歩いている

変な気分だ

踏み潰されたらどうする、気をつけろよ


イモリって、気持ちのいいやつでない

腹の赤い、色の黒い、トカゲみたいなやつだ

普段は水の中にいて、群をなし、ぶくぶくなんか言ってる

気持ちいいやつじゃない


でもさ、でもだよ

気持ちのいい、気持ちの良くないってなんなんだろうね


イモリも生きている

ノロノロと、ゲスゲスと


自分を振り返ってみて

「俺は好かれているのか、好かれてないのか、嫌われてるかな」

そう振り返ったとき

なんかさ、褒めはしないよ、好きにもなれないかもしれない

だけどさ、だけどだよ

イモリにも、言い分あるはずだよな、そう思ったんだ


今は11月の末、もうすぐ12月になる

イモリは冬眠するのかもしらない

でもわざわざ水の中から力をふりしぼり、外へ出てきて

さあ、これから寝るとこ探そうかな

さて、寝るぞ


そんな時に邪魔されたなら

自分の生き方を踏みにじられたなら…


「いや、悪かったな、イモリ」


お前にも、俺にもそれぞれの生き方がある

かっこよくないかもしれない

褒められたことは、あまりない

嫌われることもあるのかもしれない


でもさ、お前にも子供がいるだろ

でもさ、お前にも父さん、母さんがいただろ

だからさ、必死に生きろよ


俺はお前を好きにはならないかもしれない

でもさ、でもだからさ、邪魔はしない

そして俺は俺

お前はお前でいよう


そしてさ、それぞれの道をいこうよ

お互いにさ


「じゃあな」


そういって、バイバイしてきた



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短歌・俳句・川柳・詩 Rona736 @rona736

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