第8話 そっちがその気なら

「ちょ……マジで怒ってる? 何も言わないの怖いよ」//焦る


「ねぇってば」//かなり焦る


「リュック下ろしてどーする気? その黒いピストル、まさか本物……?」


「一旦落ち着こ? 話せば分かるって。どっかのえらい人も言ってなかった? その人は、結局命拾いしたんだっけ……?」//必死で記憶をたどろうとするが、思い出せなくて顔が白くなる


「やめて! からかいすぎたの、謝るからぁ」


 //SE 水鉄砲の音


「ひゃああっ」//恐怖と驚きと冷たさが入り混じり、甲高い声になる


「撃たれても、はーちゃん生きてる? ピストルじゃなくて水鉄砲?」//すーはーと息を吐く


「よかったぁ。マジで死ぬって思っちゃったじゃん」//肩を下ろす


 //SE 水鉄砲が連射される音


「ちょ、まっ! 口の中に水が入ったんだけど! その水鉄砲しまって! エンジョイするの今じゃないから!」


 //SE 水鉄砲が連射される音


「もうっ! そっちがその気なら、はーちゃんも黙っていないよ!」


 //SE 水をかける音


「とりゃー!」


「どーよ。顔面ヒットした気分は」//得意げ


「あぅ。くすぐったいよ」


「負けないから」//笑いながら水をかけ続ける


「あ~。楽しかった! あんたがまさか水鉄砲を持ってきてるとは思わなかったなー」


「ねぇ。首のとこに葉っぱついてるよ」


「じっとしといて」


 //SE 水をかける音


「残念でしたぁ! まだ勝負は終わってないのに、隙がありすぎだよ。首のところに葉っぱなんてつっつく訳ないじゃん? ほんと単純……んっ」


 //SE 唇を離す音


「あんたの方が立場上だって、分からせられちゃったぁ」//とろんとした目になる


「調子に乗りすぎたはーちゃんに、いっぱい指導してくれる? 際どい金具がついた水着で誘惑して、はーちゃんのファーストキスを奪ってもらおうって考えてたんだよ。こんな悪い子、許せないよね。風紀委員さん」//自分から唇を奪う


「はーちゃんが反省するまで、ずっと離してくれないの?」


「そんな指導なら、永遠にされたいな」


「でも、今日は石英探しのミッションがあるから、ほどほどにね。お揃いのストラップ、作りたいんだ」


「行く? それなら、手ぇ繋がせて?」


「えへへ。はーちゃん、幸せ者だぁ」//頬が緩む


「はーちゃんの顔、すごい見てくんじゃん! 気が済むまで見たら? あんたの彼女が世界で一番可愛いってとこ」//照れながら早口でまくしたてる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

路傍の石とは言わせない 羽間慧 @hazamakei

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ