枯渇した村での水晶玉占い
朝香るか
第0話 村の婆からの忠告
砂漠が隣接する貧しい村。
暑さが本当につらい。
この村では水が出てくるので他の村よりはましである。
他の村からはオアシスと呼ばれるそんな村。
昔から伝承があった。
『占いのできるものは時々生まれてくる。
大切に敬えば、その家は豊かになるであろう』
貧しい村に住んでいる貧しい夫婦に子供が生まれた。
貧乏ではあったが、
村の最長老の婆から受け継いだ水晶玉があった。
「その幼子にやる。この子は見える子だから。練習させなさい」
水晶を売ることができれば、
当分は暮らしに困ることはない。
「それを売ると村が滅ぶぞ」
そのように婆に脅されたことがあったから、
売ることもできない。
幼子に水晶玉を持たせることで村の者の意見は一致した。
婆も水晶玉を使って、未来が見えたらしい。
歳のせいか幼子が生まれてからは
占いをしないようにしている。
「この水晶玉には未来が映る。だれにもはなしてはならない」
「はい」
婆は水晶玉を大切にしまい、幼子に手渡す。
必要と判断すれば占うが、それは呪術にも使える。
実際に魔女の疑いをかけられることあったし、
近隣の人からも間違えられることも多かった。
水晶の能力を危険だと婆も思っていた。
婆は引退したが、ぽつりぽつりと依頼に来る人がいる。
夫婦と婆が相談し、禁止した。
幼子が圧倒的な能力でみれる事ができたら、
今はまだいってはないことだって言ってしまう。
善悪の区別がついたらまた占い活動を復活させようと。
これを聞き、相談しに来た人は納得して引きかえしていった。
枯渇した村での水晶玉占い 朝香るか @kouhi-sairin
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