波に乗って帰って来るもの……。行間からこぼれる情念がゾクッとします。

海に流される灯籠達。幻想的な祭りの場面から始まるこの話。
波間に消えゆく灯籠を見送った後、友人の柳瀬は言います。
「皆、蝋燭ばかり流すね」
この一言がきっかけとなり、真夏の灯籠流しの不思議が語られて行きます。

お話は確かな筆致で淡々と進んでいきます。
淡々と進みつつも、ゆっくりゆっくりと歪んで、立ち現われて来る真実がまた恐ろしい。結末まで至った今、背筋がひんやりとする静かな恐怖に包まれています。

静かに語られていく『灯籠流し』の隠された一面と道理に外れた情念の物語を是非、体験してみてください。









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