勘違いしているのは彼なのか?それとも世界の方なのか?

他愛もない思いつきとみみっちい見栄と無茶ぶりの数々が、勘違いに勘違いを重ねた結果もう二度と後戻り出来ない所までいってしまった哀れな男の物語。
……しかし、それらが勘違いなどではなく、全て必然だったとしたら――?


勘違いモノ、と一言で言うのは簡単だが、この作品のそれは単なる勘違いを超越した【勘違い】を巻き起こす。勘違いの究極のような作品。
無能主人公クライの「なんもしてないのに壊れた」感と、それに巻き込まれる周囲の七転八倒と悲喜交々がどうしようもなく面白く、心情的には同情しかないのに、読んでる途中は「始まったな……」とワイングラスをかたむけつつほくそ笑む(実際は爆笑してることも多い)感覚に襲われる。大事件の目撃者としてナマの愉悦を感じられる不思議な案配の構成、ちょっと言葉では言い表せない次元の違うすれ違いの妙を是非一読して体感してほしい。

いやもうほんとね、おまえいい加減にしろよクライ!w
(なお彼の本心は見て見ない振りをするものとする)