パペットを手にした少女と、ぬいぐるみをつれた少年と。そんな可愛らしい、ソフトな2匹のいるミステリである。
ミステリであるが、同時にこれは青春の群像劇でもある。
彼らは変わり者。けれど変わり者にも青春はあるのだ。
ひとりぼっちがひとりぼっちでなくなるときに、失うものはあるのだろうか。
それまで手の中にあったものを、人の中に入る瞬間に落としてしまうのだろうか。
そんなことを、ふと思ったりしたものでした。
この青春の行く先は。
まずはこの野外劇の終わりは。
しっとりとした語りの中でふわりと漂うのはふかふかのタオルからにおう柔軟剤かもしれない。
そんな独特のミステリです。一度入ってしまえばこの作品の世界にどっぷりでしょう。
ぜひご一読ください。