「第1回カクヨム短歌・俳句コンテスト俳句の部」

どすえ輝久

「第1回カクヨム短歌・俳句コンテスト俳句の部」川井崇司

母を通じ友誘う子の祭かな

吾と手を繋ぎ祭の閑散と

夏祭人の連れたる女見て

神輿だこ人に誇りて酒を酌む

腰がひけて叱られている神輿かな

裏で何か食うは夜店の男かな

ばったりと友と出会いし旅浴衣

白き球にとまりつつくや揚羽蝶

タクシーのメーター母の日なりけり

梅雨の妻洗濯物につまづけり

自転車の祖父や荷台に濃紫陽花

我のみが半ズボンなりゴルフ場

珈琲を淹れたる梅雨の読書かな

鼻歌や白靴の泥拭いつつ

連日のゴルフの我や男梅雨

昼に見し光らぬ蛍子は逃げる

梅雨の蝶外見る犬は鼻鳴らし

点滅の蛍に規則ある如し

唐揚げの鮎やや反って皿の上

蛍火に透ける葉脈籠の中

蛍追ふ舞子は紅き目尻かな

雨細しぼんやり動く蛍の

父と母連れて遅るる夏祭

蛍見や池に踏み込む右の足(左足)

幽霊を怖がる君や螢狩

汗ばむや互いの指のそつと触れ

射的場に一人となりぬ夏祭

夕立や振り込む雨を舐める犬

目が覚めてさっと被りし夏帽子

八字眉カンカン帽のお方かな

しわくちやの麦わら帽子捨てにけり

ボロボロにして山の香(か)の夏帽子

今日もまた葉巻の香りパナマ帽

夏帽の小さき棘の手触りよ

紺色の麦わら帽子いつも手に

夏帽の白きが浮かぶ人の中

夏帽の二人互ひに手を繋ぎ

夏帽に放り込みては賽を振る

真白なる団扇に目鼻描く子かな

風鈴に向かひて犬や跳ねに跳ね

ぐずる子に持たす小さき団扇かな

風鈴の揺るるを見つつあくびかな

高々と絵団扇を振る女の子

泣きし子をあやす大きな団扇かな

はつか油を塗りたる夏のゴルフ場

風鈴の鳴るうなぎ屋に誘われて

風鈴の向こうの空は茜色

男の子は抱く桃色の扇風機

居酒屋にありナイターの声聞こゆ

降りやまぬ小雨や我はナイターへ

ナイターや光に向かふ火蛾(ひが)の道

首振るや頭大きな扇風機

ポカリ分け合ひ炎熱にボール蹴る

母と来てナイターを見ず女の子

穴子鮨旅立ちの日の息子かな

火をおこす団扇の音や風の中

引越して麦酒くれたる隣かな

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「第1回カクヨム短歌・俳句コンテスト俳句の部」 どすえ輝久 @kawai-takashi

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