第3話
「…んん、ここはどこ?、今何時だ?」
見知らぬ和室で目が覚めた僕は、とりあえずスマホで時刻を確認した。
「21時13分か…神社に来たのが18時ごろだったから3時間くらい経っているのか…」
いや、そんな事よりーーー…
「目が覚めたようですね。」
声のする方を見ると、黒崎さんがいた。
「思い出した…僕のネックレスを見た後、黒崎さんに何かされて、気を失ったんだっけ?」
「…単刀直入に聞きます、そのネックレスをどこで?」
「えっと…路上販売店で貰いました。もしかして、これってヤバイやつなの?」
「そのネックレスのお飾り…青い宝石は7大呪宝の一つブルーダイヤモンドです。所有者は悪夢と幻聴にうなされ、最後に自ら命を断つと言われています。…夜眠れないのはそのせいでしょう。しかし、その悪夢と幻聴は平静を保ってられないほどのはずなのに、寝不足程度で済んでいる貴方は、選ばれてますね」
「選ばれる?」
「ええ…7大呪宝は意思のある呪いで、所有者を選ぶんです。私もその一人です。」
そう言い終えると、左手首のブレスレットに埋め込まれている、漆黒の宝石を見せてきた。
「ブラックオルロフ…所有者に凄惨な死をもたらすと言われていましたが、運良く選ばれ、こうして生きています。」
「ククク、黒い髪が似合う女が好きだからな。」
中性的な声が、ブレスレットから聞こえてくる。
その声を聞いた瞬間、腰を抜かし、ちょっと失禁した。
「…い、今、誰が喋ったの?」
「ブラックオルロフです。先程も言いましたが、7大呪宝は意思があります。選ばれた人にしか認識できませんが、話しかけてきますよ。…話しかけてきたりしないのですか?」
「そういえば、夢の中で話しかけられたような…」
「でしたら、近日中に何かアクションがあるでしょう。…時間が時間なので帰りましょう。送っていきますよ。」
「いや、送るのは大丈夫だよ。はやく帰らないと…」
「…あまり、鏡がある場所に近寄らないでくださいね。」
「…鏡?なぜですか?」
「…いや、まだ大丈夫か。何でもないです。また、何かあったら私に報告してください。その時、教えます。」
「わかりました。最後にいいですか?このネックレスを誰かに譲ったら捨てたりすれば、解放されたりするんですか?」
「…無理ですね。やればわかりますが。」
「ククク、あまりお勧めはしねぇがな。」
「…そ、そうですか、ではそろそろ帰ります。」
「わかりました。玄関まで案内しますね。」
玄関まで案内してもらい、黒崎さんに別れを告げる。
「色々ありがとう。また明日。」
「いきなり腹を殴ってすみませんでした。また明日。気をつけてね。」
黒崎さんと別れ、街灯のない暗い道を歩きながら頭の中を整理していたが、現実離れした出来事が多く、頭が働かない。
…7大呪宝に選ばれて、声が聞こえたら何があるんだ?それに、鏡のある場所には近づくな…か。
「ダメだ…、帰って寝よう。」
ボーッとしたまま、駅に向かって歩いて行った。
続く
change ゆゆしき @NADAJ
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