君の読むスイミー

micco

君の読むスイミー

君の読むスイミーが好き 春雨に打湿る居間 海のごとくに


虹さがし南へ北へ水くぐる君と向日葵の葉はびしょ濡れ


翳す目から誠実のこぼれて川 ぼくうそついた、あやまってくる 


夏風よ柔らかな背を強く押せ ごめんがまっすぐ届くように


戸惑いもかなしみも苦も喜びも輝きにできる真っ新な君へ


小さき手石鹸あぶく立たなくて 両手重ねつ我が子いとおし


五色のがんさざめき仰ぐ雨夜星 どうかあの黄短冊だけでも


はみ出して積まれた既視感デジャ・ヴお前もか 漫画のサイズアウトは来世


ママお水。ママは水じゃぁありません。おねがいします。どうぞ。ありがと。


宇治抹茶練乳氷ウジマッ・チャ・レンニュ・ウゴオリ呟いて「茶」は習ったと小二の横顔


もうやだと逃げる後ろ髪の個性――唸るバリカン母も追う……!


いやだするしない行かないここにいない 狂乱纏う悲哀きみを見つめる


よっつぶの薬が君と日々を繋ぐ アルミの潰れた残骸捨つ


残業後迎え夕飯洗い物お風呂歯磨き 我は母也


良妻賢母カタガキを排水溝に流したい誰か私に熱い緑茶を


洗濯物の蟻塚のごと歪なすい 色とりどりの空虚丈高く


ごめんねと言わせたいわけじゃあないんだよごめんねママごめんなさいごめんてば でもごめんママもうまく言えないいいよ分かったハイぎゅうしよう


ふと見れば寝癖頭が肩に届く 何センチまで抱きしめていい?


掌の温度つなげる駐車場 もう君は走ったりしないけれど


薄闇に光るほっぺのまろみ、さらり。朝が来たと撫でる只、ただ。

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