僕にも君にも、秘密がある。

　誰にでも、秘密がある。
　気兼ねなく話せる友人にも、近くのコンビニのバイトにも、普段厳しい担任の教師にも、うちのクラスのマドンナのあの子にも。
　誰だって何かを誰かに隠して生きている。
　当然、俺にも秘密はある...いや、あった。

　あの日俺は風邪を引いて寝込んでいた。
　呼鈴が鳴り、俺はその主を確認する。
　インターホンに映っていたのは、同級生の音霧愛清だった。
　俺は急いで玄関に向かうが、力が抜けてその場に座り込んでしまった。
　彼女に介抱されながら、俺はリビングに向かった。

　そして、俺は彼女に『秘密』を見られてしまったのだ。