安定感から不安感へ

まだ物語が始まったばかりで何も始まっていないのに、文章のリズムが良くて慣れ親しんだ喫茶店で寛いでいる気分になれます。

ハードコアな小熊さんのキャラやマニアックな蘊蓄や完結した後の満足感とは別の気持ちよい流れを楽しんでいます。

読み進んでいくに連れて輪郭が朧気だった新キャラたちが生身の人として浮き彫りになってきて。興味深いです。

カーディガンの少女。

若い頃は処世術が乏しくて他者との触れ合いが苦手で夜行性になった経験は自分にもあるので、しみじみと読んでいます。

小熊さんがどうぶち壊すのか?それとも折り合いをつけるのか?
興味深い話になってきました。

そして葦裳社長との対話でいきなり物語の最初に思った小熊さんのあり方への疑問が真正面に来て。ドキドキしますね。

51話のラストは爆笑しました。

52話はスーパーカブの物語の原点に一周して帰って来たような。

葦裳社長の魅力が仄かに香り始めてちょっとドキドキしました。

「心が曖昧な欠乏を感じた時」は今回の話のキーワードですかね。小熊さんが都市生活のペシミスティックな気分を潔く切り替える描写はとても好きです。

桜が咲いて、良かったです。

小熊さんにとっては大きな変化で、今までのどこか心の中に抱えた重苦しさを押し除けて行くような気配は見ていて嬉しいです。

「二人はとてもよく似ていて、少し違う」は名セリフです。

友人や夫婦の継続のコツですね。

親子という絶対安心なはずの関係がぶっ壊れた小熊さんが、友達という不安を伴いながらも日常を生きていくのに不可欠な関係を構築できるのか?

回が進むに連れてハラハラしながら読んでいます。

文章で無口キャラを生きた姿に描き出すのって素人考えでは難しいと思うのですが、モブキャラと思っていた葦裳社長が意表を突いた魅力的な姿を見せて新鮮な驚きがあります。

一人きりじゃ居られなくなるのが20歳くらいというものでしょうか。立ち去った母との関係も気になります。 

86話 パパパパパイン登場ですね。(そこじゃない)
87話 唐突 でも告白の瞬間って須く唐突かも
(読んでない人にじわじわ来る書き方を企んでいます(笑))
小熊さん、心が緩んでハードコアの堤防が切れちゃいました。おー!と声が出ました。

それぞれのキャラが想像外の動きを始めて、これは面白いなとワクワク読み進んでいます。

プチ地方の多摩地区で友達のいる日常を書く時、「ここは退屈〜」みたいにロードサイド店舗の描写は不可避で。

昔は無個性と無名性が嫌で嫌で避けてたのですが、ここにある個人の物語を描けるのが今時の作家さんの力量で。

最近は店に入っても周囲を観察するようになりました。こんな三人連れは見た事ないですが(笑)

小熊さん、南海ちゃんに関しては友だちというよりお母ちゃんになってきてますね(笑)お姉ちゃんだと張り合う感じが残りますが、お母ちゃんだと見守る忍耐が出て来て。

ウェンディとの関係性もおやおやという感じに進んできて。
どこへ行くのでしょう?

と思ったらツンデレさんでしたか。
ちょっとレズビの香りがしましたが寸止めなのがいい感じ。

葦裳社長が可愛い宇宙人になって小熊さんに飼育されてゆくのはなかなか楽しいです。

孤独という病を治す術をもう知っていたかのように道を切り開いてゆく小熊さんを見ていてホッとしました。

しかし友情と恋愛の境目のような同性関係が複数進行し始めたのは後のややこしさが楽しみになってきて(笑)