第4話『再び異世界へ』
「ふ、二人を助けに行かないと……!」
一人で部屋に戻ってすぐ、僕は再びライゼウォッチを起動させる。すると、警告音が鳴った。
『警告:転移回数が残り少なくなっています。このまま転移しますか?』
するとそこには、そんな表示が出ていた。
……回数が残り少ない? どういうことだろう。
僕は混乱しながら、ライゼウォッチを調べてみる。
それによると、この道具は転移に特殊なエネルギーが必要らしく、それが枯渇しかけているらしい。
残ったエネルギーで移動できるのは、残り一往復分だけだった。
「じゃあ、二人を見つけるまでは帰ってこれないってこと? ちょっと待ってよ。準備しなきゃ!」
その事実に気づいた僕は、押し入れからお父さんが使っていた巨大なリュックを引っ張り出す。
その中に食料やマッチ、懐中電灯、水筒に薬箱の中身など、異世界で役に立つかもしれない道具を片っ端から詰め込んでいく。
「……そうだ。お父さんに手紙を残しておかないと」
リュックがほぼいっぱいになった時、僕はそう思い立ってノートを引っ張り出す。
――お父さんへ。友達を助けに異世界に行ってきます。すぐに帰るので、心配しないでください。
手早く書き終えたそれを、台所のテーブルに置く。
そのまま自分の部屋に戻ると、パンパンに膨れ上がったリュックを背負った。
一度目をつぶって深呼吸をしてから、僕はライゼウォッチを起動させる。
そこには、これまでの異世界移動とはまったく違う感情があった。
……正直、怖い。
異世界だから、それこそ何が起こるかわからない。
さっきのようなモンスターや、ドラゴンに襲われてしまうこともあるかもしれない。
そうなったら、何の力もない僕はおしまいだ。
……それでも、行かなきゃ。
僕らは異世界少年トラベラーズ。
異世界を楽しんで、きちんと帰ってくることが目標のチームなんだ。
途中で投げ出すなんて真似はしたくない。
「……二人とも、待ってて。すぐに助けに行くから」
僕は最後にそう呟いて、異世界転移の光の中へと飛び込んだのだった。
異世界少年トラベラーズ! 川上 とむ @198601113
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