律を調べて 願をかく

七雨ゆう葉

律を調べて 願をかく

 えぬ声

 かこむ笑顔が

 乱反射らんはんしゃ

 える夫婦の

 のぞみ叶いし


 のたうつ子

 よるの静かを

 ち砕く

 にぎる母の手

 いてなだめる


 一大事いちだいじ

 じかに立つ身を

 にんまりと

 そばで見守り

 大地だいち踏み締む


 てくてくと

 と手繋いで

 れるみち

 れきつむいで

 らす落陽


 青空あおぞら

 いざとまたが

 上機嫌じょうきげん

 羽化うかの真下で

 える父の手


 そのの門

 けど即座に

 出口でぐちへと

 口説くどく母の

 れつへ導く

 

 庭園ていえん

 あつまり食す 

 立夏時りっかどき

 玩味がんみ素晴らし

 ともに薦める


 運動会うんどうかい

 二人ふたり揃いし

 たまの声

 りきむつま先

 のがすまいぞと


 声高こわだか

 二度にどとしないで

 うながされ

 まがり迷いて

 れいを取る夜


 思春期ししゅんき

 あらし再び

 き立てば

 世話せわは要らぬと

 できに飛び込む


 すべからく

 いきを切らした

 ついの果て

 パチリはたかれ

 いたむ抱擁


 芽吹めぶく春

 いこい学びの

 をくぐり

 くもの切れ間に

 かざすガーベラ


 喧騒けんそう

 手足てあし止まらぬ

 ごうの中

 メール開いて

「ンン……」とほころ


 熱賛ねっさん

 ねる想いに

 なだそうそう

 麗姿れいしまといて

 てんちぎりし


 を振るも

 もくまご見て 

 図録ずろく出す

 ついに笑み見せ

 ける父母ちちはは


 綿わたを詰め

 えし父乗る

 霊柩車れいきゅうしゃ

 ながき浄土へ

 いのり捧げて


かあさん……」と

 来院らいいんの度

 きしめる

 いつか共にと

 ごす夢見て


 岐路きろ近く

 いて拒んだ

 ちちの次

 千切ちぎる心に

 ははの微笑み


 葉月雨はづきあめ

 部屋へやを響かせ

 るを知る

 されど思ひ出

 群青ぐんじょう彩らん


 あかつき

 りつを調べて

 がんをかく

 永遠とわのあなたへ

 うたよ届けと

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

律を調べて 願をかく 七雨ゆう葉 @YuhaNaname

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説