妖怪句二十連
平中なごん
妖怪句二十句連
打ち捨てた 古傘の柄 脚となり
ふと見れば 障子の影の 首伸びる
二八そば こんな顔かと 店主訊き
この淵で 再会を待つ ノスタルジー
木を倒し 飛礫を落として 神隠し
手拭いを 頭に乗せて 猫踊り
行燈の 油を舐める 猫の影
夜の道 誰かの足音 ついてくる
闇の中 見えない何かに 立ち止まる
快晴の 空舞う白き 衣一条
泣く赤子 背負うとみるみる 重くなり
竹藪に 砂を撒くよな 音がする
鬼となり 娘のために 肝をとり
あの日見た 白い女に 似てる妻
いつの間に 知らぬジジイが 居間におり
大食いの 妻の頭に 口二つ
振り向けば まだ着いてくる 犬一匹
野晒しの 骨を集めて 大男
底空いた 柄杓なければ 船沈む
我が姿 写さば疫病 退散す
妖怪句二十連 平中なごん @HiranakaNagon
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