エピローグ

「早く早く!」


 私の手を引いて、ひよ子は廊下をかけている。

 音楽室の入り口の前で、穂実が手を振っているのが見える。

 結局あれから、私は高校でも吹奏楽を続ける決意をした。入部届を出す時、期限に遅れたから顧問の先生にこっぴどく叱られたけれど。自分が、自分で決めた道。私はそこを歩いていくことを決めた。全部終わってから考えてみると、なんてちっぽけなことで悩んでいたのだろうと思う。けれども、それが決して馬鹿馬鹿しくて、意味のないことだとは思っていない。いつまでも、私の中で思い出として残り続ける、良いことだ。

 世の中の迷いは、まっさらな紙に弧を描くようなものだと思う。最初に描き出すのには勇気がいるけれど、描き出してしまえばどうってことはない。

 完成した形がどうであれ、そこまでの過程が、その作品を素晴らしいものへと昇華させてくれるから。

 私はこれからも悩んで、悩んで、悩んだ末に楽しく人生を歩んでいく。

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まっさらな紙に弧を描くような、そんな話 茂 幸之 @122370

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