秘かな楽しみ

ぴろわんこ

第1話

AIロボを使い、個人の趣味を満たすという社会になった。例えばスポーツの腕を磨きたい時にロボに相手をしてもらう、将棋や囲碁を楽しみたかったらロボに相手をしてもらう、ヒマを潰したかったら話し相手になってもらうという風である。


おれは格闘技が好きで、ロボに相手をしてもらっていた。おれは身体をそれなりに鍛えていて、格闘技の道場にも通っている。やはりロボに相手をしてもらってから、自分が一段と成長しているのを感じる。練習試合で勝つことが増えてきている。別にプロを目指しているわけではないが、大会にも今度出場する予定だ。


だがそれは表向きの趣味で、おれにはまだカミングアウトしていないことがある。実はゲイなのだ。

周囲の人間にそれとなく探りを入れたことも何度かあったが、誰も同じくゲイだという人はいなかった。

ネットを通じて何度かゲイの人とも会ったこともあったが、イマイチ好みが合わなかった。

いや実は、ある男と性行為するまでには至ったのだが、おれには変態的趣味があり相手の首を締めないと興奮しないのだ。

相手の男はそんな趣味はなく、何をするのだと怒ってしまった。

我に返ったおれは相手を必死で宥めて謝罪し、金を払い何とか警察に訴えるのを止めてもらった。


この性欲を何とか満たしてくれる所はないかと裏サイトを覗いていたら、AIロボが相手をしてくれるゲイ専用の店があった。

これはいい、非合法の店みたいだから少々金は高いみたいだがロボなら首を締めても平気だろう。


おれは早速予約して行ってみた。人間とほとんど見分けがつかないような特殊な加工がしてあるロボで、アナルの締まり具合もよかった。首を締めて夢中で射精した。

とてもよかった。何故もっと早く来なかったのかと後悔したほどだ。


おれは次の予約を取り、またその店へと行った。今度はロボの抵抗を激しくしてくれと、店にお願いした。


「あ、おい兄ちゃん、ちょっと待ちいな」

部屋に入るなりおれは抵抗するロボの首を締めた。リクエスト通り抵抗を激しくしてくれたな。よし、おれも燃えてきた。

ズボンを引きずり下ろしロボの尻を剥き出しにした。ロボの首を締めながら、腰を振り一気に射精した。

ロボはピクリとも動かない。どこまでも凝った演出だなとおれは感心した。


料金を払うためにおれは受付に行った。

「あれ、ご予約の時間を間違えておられませんか?まだロボの準備をしておりませんが。もう部屋に行かれたのですか?部屋に店の者がおりませんでしたか?」


えっ、まさかおれは本物の人間を手掛けてしまったのか?!

おれは血の気の引いた頭で、刑務所にどれくらい入ることになるのかなと、ぼんやりと考えた。




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