「クトゥルー+アクション」は苦手……という方も、どうかご一読!

 バステトの巫女にして古き魔術師の系譜を受け継ぐ少女、ソーニャ・葉月・プリンを主人公とするクトゥルー・アクション物語。
 クトゥルー・アクション物というと、「クトゥルー」と「アクション」の噛み合わせが悪かったり、とくに後者が前者を食ってしまった結果ただのアクション物になってしまったりと匙加減がむずかしいことが度々見られますが、本作はその例外。
 アクション物の顛末を楽しみながら、同時に、世界の影に満ちる暗澹たる恐怖の存在を味わうことができます。

 それを実現しているのが、非常に緻密な描写。舞台も情景も、キャラクターについても描かれていて、物語の世界に入ってゆくことができます。
 それをさらに支えているのが、作者氏の知識量と、モチーフとなった作品に対する熱意なのでしょう。

 分量はかなりの量ですが、読み通すだけの価値はあるでしょう。