結ビノ章・彼方ノ鈴音

(現し世)


香与登場


香「ち、千歳ちゃん!?」


千「あ、香与ちゃん!!」


香「無事でよかったですわ…!!もう、心配したんですのよ?」


千「え、何が?」


香「何がって…千歳ちゃん、昨日の夕方から行方不明でしたじゃない!」


千「え、そうなの?それは香与ちゃんの方じゃ…」


香「私はここで千歳ちゃんを探してたんですのよ?お話ししながら歩いていたら、急にいなくなってしまったんですもの!」


千「そ、そうだったんだ」


香「ご両親にご報告しましょ。必死に探しておられましたわ」


千「そっか。ごめんね」


花火の音


香「あら、花火!千歳ちゃん、大丈夫?」


千「うん、もう大丈夫だよ」


千歳、空を見上げる


花火の音


千「花火って、こんなに綺麗なんだね」


香「えぇ、そうですわね」


千「……でも、帰らなきゃ。お母様にもお父様にも迷惑かけちゃったもん」


香「…では、帰りましょうか」


千「え、いいの?」


香「もちろん。当たり前じゃない」


千「香与ちゃん…。…ありがとう!」


香与、先に歩く


(足を止めて上を向いて)

千「花火、見れたよ。姉様」


(声のみ)暁「…千歳、良く聞いてね。いい?まず始めに、栄養のある食事をとってね。それから、早寝早起きを守って健康で。料理や裁縫の腕も磨いて、少しの護身術くらいは身につけるのよ。それから、美容にも気を遣ってね。好きな相手の隣に、胸を張って並べるように」


香代、もう一度出てくる


香「千歳ちゃーん?」


千「今行くー!!」


千歳、香代、走ってはける


はける瞬間、花火の音と共に鈴のチリンという音



fin

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黎明パラドックスー彼方ノ鈴音ー 緋川ミカゲ @akagawamikage

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