空が二枚に 🎐

上月くるを

空が二枚に 🎐





少年の眸の黒き清和かな

床の鳴る森の図書館新樹光


春の海チョーク引くごと船進む

田水張る空が二枚になりにけり


トランペット響く河原や山笑ふ

りんりんりん一輪二輪三輪草


海賊の飛び出す絵本緑の夜

川べりの絵画教室花いばら


母と子の白き木綿や夏来る

花茣蓙や幼き頬の泣きぼくろ


バス停に祖父と孫あり山法師

若葉には若葉の翳り白き家


西日射す新宿のまち発酵す

同窓会居場所のありや草いきれ


鶏頭にゆふべの雨の匂ふなり

牧柵に弾くバンジョーや秋高し


背きし子を門に待つ父秋の暮

冬麗や遠き町まで弓買ひに


膝掛や沈黙三日スマホ鳴る

日脚伸ぶ駅より放射状の街




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