いつも冷たい君は何も知らない僕に恋をした。

白神 凛

いつもまわりに冷たい君は何も知らない僕に恋をした

彼女は、いつも冷たい。周りには良いとは言えないような言葉も言っている。いわゆる塩対応ってやつなのだ。

だけど僕の近くにいる時は...。


(波瑠)「おはよう!今日も元気だね!翔真(しょうま)君!」


何故かこれである。ちなみに周りにはどう言う反応しているかというと...


(波瑠)「誰ですかあなた。早く別の場所行ってくれませんか?気持ち悪い。」


こんな感じなのである。別に僕たちは付き合ってる訳では無い。付き合う前とか、親友とも呼べる仲というはけではない。というか今年から知り合った仲だ。ただの友達、?って感じだ。


何故僕にはこんな明るく対応するのか、、、周りには何故塩対応なのか、少し気になる。が、それを聞く気も聞く勇気もない。僕は僕で自信が持てない人だから。

そんなこんなで、毎日を送っている。



(波瑠)「翔真くん!今度遊ばない!?」

(翔真)「え。君が、僕と?」


何故か遊びに誘われた。この後人数を聞いたが僕と波瑠以外は誰もいないらしい。デートってやつになるのでは無いか。いやなるのか、あと声が大きいせいで他の人に聞かれてる...と、内心思いながら迷った結果OKをだしてしまった。迷う理由はただ1つ。僕は周りからの目を気にしてしまうからだ。周りの目を気にして生きることは。いいとも言えないが、僕は気にしてしまうのだ。


どこ行くかなどの予定はまた後で立てることにした。

都会に行くとか、そういうのだと僕は思っていた...。


僕の予想は外れた

外に出かけるのが普通だと思い、外で遊ぶのだと思っていた。

でも来たところは波瑠の家だった。

あとから外に出かけるらしいが、その前に疑問が浮かんだ。何故家に来たのか、ということだ。


そんな疑問を抱きながら僕は家に入った。初めて来たというのになぜだか懐かしく感じた。


(波瑠の母)「いらっしゃい。翔真くん、お久しぶりね」

(翔真)「お久しぶりです。おじゃまします。」


僕はこの人と初めてあった。とりあえずお久しぶりですと返したが、別に親しい訳では無い。久しぶりでもない。でもなぜ親しく接し名前まで知っているのか不思議でたまらない。


(波瑠)さっ、こっちこっち。

僕はその声につられて波瑠の部屋に来た。

すごく懐かしく感じる。何回も来ているんだな、と思う。


...何回も?僕はここに初めてきた。なのに、何回も来た...?

とっさに咳がでた。吐き気がした。

僕でもよく分からない。ここに来たことがあるのか、果たして。


(波瑠)「具合悪い?大丈夫?少し休む?」

(翔真)「...少し休む。」


考えれば考えるだけ分からなくなる。吐き気がする。一体...僕は...?そうして休んでるうちに眠りについてしまった。


眠りから覚めた。


(波瑠)「大丈夫?休まった?」

外はだいぶ暗い。結構時間が経ってしまったようだ。

(翔真)「だいぶね。」

暗いな、と思いつつ外を見ると夜とは思えないほど明るかった。今日はクリスマスらしい。僕は何故か忘れていた。


(波瑠)「クリスマスだね。今日は」

翔真)「そうだね。」

(波瑠)「...翔真君。出かけない?少し、イルミネーション見たいんだ。」

(翔真)「こんな時間なのに大丈夫なのか?僕は全然構わないけど?」

(波瑠)「君が寝ている間に許可を取ったから大丈夫。さ、行くよ!」

僕は無理やり出かけさせられた。



綺麗なイルミネーションだ。僕の前にはイルミネーションが写っている。スピーカーからクリスマスソングが流れていたり、たくさんの人がいる中、僕たちは綺麗なイルミネーションの前に立っていた。


(波瑠)「綺麗だね。」

たしかに綺麗だ。でも僕は無言でいた。

(波瑠)「君に言いたいことがあるの。覚えてないかもしれないけれど、私たちはここで出会って、君が私に恋をしたんだよ」


...思い出せない。僕はそんなことをしていたのか?頭が痛くなる。


(波瑠)「思い出せないかな。あの日の出来事だけでも。思い出して欲しいな。私の事も。」


どんどん頭が痛くなる。目の前が真っ白になるくらい頭が痛い。僕は、君に恋をして、楽しい日々を...送っていたんだ。


思い出した。君のことも全部、全部

すぐに抱きしめたくなった、謝りたかった。でも我慢した


(翔真)「思い出した...君との日々。君に恋をしたことを」

(波瑠)「やっと、やっと思い出したんだね。」

(翔真)「でも、君があの時答えたのかはわからない。覚えもいない。」

(波瑠)「そうだと思った。だから、今から言うんだよ。」


「私は、君が大好きです。」


あの日の答えが返ってきた。僕は、無言で頷いた。内心嬉しかった。でも今はこの嬉しみを抑えよう。


「僕も、君が大好きだよ。波瑠」


返事をした。

僕は君に恋をした。でも今まで返事はなかった。でも今なら言える。

いつも周りに冷たいあなたは何も知らない僕に恋をした

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いつも冷たい君は何も知らない僕に恋をした。 白神 凛 @huramyi

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