第5話 アルトさん

「ここがソンブレロ銀河かぁ」

おにぎり君はテレポーテーションして来てすぐそう言った。

「おにぎり君、王よ、真なる王、真王よ」

謎の存在は言った。

「王って、僕が? 何でなんかな?」

「お米はあなたが作った。お米の始まりはあなただった」

「大きくかな、小さくかな、それはそうとも言えるけど、よく知ってるな。でもこの宇宙では違うよ。この宇宙では田んぼというものから作られるようになっていた」

「お忘れか? この宇宙であなたからもらったお米を増やし始めたのは私です」

「そうなんやな、僕は記憶があまり良くない。この銀河、ソンブレロ銀河はその後どうなったんかな?」

謎の存在は空間にテレビのようなものを出した。

「一緒に見ていきましょう。ちなみに、スマートフォンの最初はiPhoneではありませんよ。地球でもね」

「うん、そうやねiPhoneではない。でも現在のスマートフォンの形を作ったのはiPhone、アップルが最初じゃないかな。ん? 地球でも??」

「このソンブレロ銀河は天の川銀河と地球の未来です」

「そうなんか。多元宇宙は広い。そんな銀河があっても僕はそんなに驚かへんよ」

「おにぎり君は別の宇宙へも行けるのですね。この世界に新しい物なんてもうほとんどありませんよ。音楽もソンブレロ銀河ではAIとスーパーコンピュータで12音の全てのパターンは作られました。名作扱いされるものの仕分けも終わりました。そこまでしなくても、日本では歴代で一番売れたミュージシャンはB'zでしょう? 昔はパクリばっかりって言われまくってましたよ。ワンオクロックだって似たような音楽作りをしてたと思います。Adoの永遠のあくる日のいきなりの無音なんかもhideやブリトニー他、やってますよ。あいみょんだって最大のヒット曲がメダロットでしょ。日本で最大級の尊敬をされているバンドの一つ、スピッツだって最大級ヒットのチェリーはモータウンでしょ。今回はモータウンで行こうみたいなのはミュージシャンの当たり前の会話なんでしょう。スノーボードのハーフパイプもショーン・ホワイトの時代に技の開発はほとんど終わったでしょう?」

おにぎり君は少し考えた。

「スノーボードのハーフパイプは165cmぐらいの方が向いてるんちゃうかな。平野歩夢さんが新しい技作るんちゃうかな」

「まぁ、その辺の歴史もほとんど同じです」

「そうなんか。天の川銀河の地球のモトヤマ君を微生物と呼んだのもその辺かな」

「そうですね。私はもう15万年も生きている。人間のパターンみたいなものはもう全部見聞きしたような気分なんです」

「ところで、名前聞いていいかな? 僕はおにぎり君でいい」

「私の名前はアルト。さぁ、テレビを見て行きましょう」

それから10時間、おにぎり君とアルトはテレビを見続けた。

「アルトさん、よくまとめてあった内容やったよありがとう。そうか、天の川銀河の地球もこうなって行くんか、そしてゴールは」

アルトは溜め息をついてから言いました。

「ゴールは退屈でした。ゴール到着の決め手になったのは、おにぎり君からのお米でした。その魔法のお米は飢えと病気をソンブレロ銀河からなくしました。私はおにぎり君にとても感謝しましたよ。最初はね。魔法のお米は病気というべきかどうか、肥満もなくしました。魔法のお米を食べているだけで筋力もそこそこ以上に維持できました。人間は、人間は、ダイエットを頑張ったり、健康の為にランニングをしたり、ニキビに悩んだり、目薬で目の疲れと戦ったり、そういうことですら幸せだったのです。人間は、人間は、ずっと途中でなければならなかった。ずっと食べても飽きない栄養満点のお米、それは食文化も衰退させました。私は、私は、おにぎり君、あなたを待っていた、探していた。おにぎり君、新たなる王、真王よ、あなたなら次のステージに人類を持って行ける」

おにぎり君は少し考えた。

「な、何でかな?? 僕もその話を聞いて限界やと思ったよ。そうか、僕のお米は複雑骨折でもニキビで壊血病でも肩こりでも何でも治してしまったか。そして、魔法の稲はなんと気象バランスを絶妙に取った。その他、その他、その他。あははっ、それならゲームとかアニメとか文学とかに力入れたらええやんではないんだ、悩みはストーリーを生み出す大きな原動力なのだから」

アルトは溜め息をまたついた。

「おにぎり君、あなたは本当に魔法おにぎりを作るだけなのか?」

「そうや、僕にはそれ以外特に何もないよ。そうか、僕のお米は栽培も簡単なんや。僕がおにぎりを渡して行く必要なんてなかったんや。僕もお払い箱や。僕のするべきことはこの世界にもうない。後はアルトさん、あなた達がこの宇宙にそのお米を広げて行くべきか考えて。天の川銀河、地球に広めたのもアルトさんなんやね?」

「私です。私アルトが地球に稲作を広めました。かなりレベルを落とした米にしました。美味しくしようとして玄米じゃなくすとビタミンBが大幅に減ったり、そんな米でした。ビタミンBの不足は脚気を生みました。そのかなり前、米作それは貧富の差と戦争を生みました。しかし結局は米がなかったソンブレロ銀河と歴史は大して変わりません。ソンブレロ銀河の地球のような星の日本のような国では芋食文化がとても進化しました。おにぎり君、」

「説明ありがとう。米のレベルを落としてみても悲劇の世界が待ってるんやね。それならもう少しだけレベルアップしたお米を広めたらいいんかな。アルトさんに任せるよ。しかし、そうか、そうか、そうか。さようなら、この宇宙」


おにぎり君はテレポーテーションした。

その後でアルトはまた溜め息をついた。




おにぎりくん2

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おにぎりくん2 ピザー @pizza417

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