夢は夢 覚めない夢の ままでいて あなたの言葉を 信じてたいから

ずっと色褪せていた

周りのきらきらを目にしながら

それはわたしと違う世界だと

触れないように生きてきた


何かが得意なわけじゃない

特別不器用なわけでもない


誰かの特別にもならなければ

誰かを特別とも思わない


当たり障りのない関係

そういえばいたな、というような

けれど「いたっけ?」と言われない程度の


世界が円を描いていて

その円に外と内が存在するなら

内側と外側を隔ててる枠の部分に

ちょうどはまっているような

枠に向かってく遠心力が

ちょうど内の枠に留めてるような


わたしと世界はそんな関係


中心に向かおうと抗う必要もない

中心であろうと輝く必要もない

競い合って研磨し合うこともなければ

自分たちだけのサークルを作る必要もない


誰かが強く輝くことで

失われていく輝きも

誰かが鈍く輝くことで

消されていく輝きも

流れの変化についていけずに

弾かれ消えていくことも

繋がっていたはずの手を離されて

サークルが失われてくことも


わたしにとっては関係ない

世界にとっても関係ない


そんな心地の良い関係

そんなちょうど良い関係


強いて言うなら

続けてくことに意味はあるのか

そんなことを思うぐらいで


それでもこのままでいられたのなら

心は凪いだままでいられた


みずからこのままでいられたのなら

と手を伸ばさずにいたはずだった


なのにわたしは見つかってしまった

その輝きに触れてしまった


色褪せていたはずの世界だったのに

わたしは色を知ってしまった


わたしの知らないわたしのことを

あなたが見つけ出してしまった


わたしのメッキは剥がされた

憧れだとか

羨望だとか

見ないふりをして生きてきた感情


色を知って

執着を知って

くすんで眩しい輝きを知った


わたしはあなたに手を引かれ

わたしは世界の中心にいた


わたしはあなたに目を惹かれ

あなたが世界の中心になった


光ることのない輝きが

多くの光をその身に受けて

吸い寄せて

吸い込んで

呑み込んで

呑み干して


そこが特異点になったとき

わたしはわたしでなくなっていた


あなたを中心にした世界

わたしが中心である世界


それは同じようでいて

重ねた一つのようでいて

決して重なることのない

異なる二つがあるだけだった


そこにはわたしの世界があった

あなたが見つけた輝きが

燦然と輝く世界があった


わたしの元いた世界はなかった

あなたが見つけた輝きが

輝くだけの世界があった


それはただ一つの色だった

わたしのきらきらを目にしながら

これはわたしの知らない世界で

気づけば呑まれて生きていた


何かが得意なわけじゃない

出来ることしか出来てない


誰かの特別かもしれなくても

望んだ特別にはなれなかった


近くにいるけど遠い関係

気づけばいたな、というような

けれど「いたのか」と呆れられない程度の


そんな関係でいたかった


中心に向かおうと抗う必要もない

中心であろうと輝く必要もない

競い合って研磨し合うこともなければ

自分たちだけのサークルを作る必要もない


世界が円を描いていて

その円に外と内が存在したとして

内側と外側を隔ててる枠があるとして

それすら意識しないような

中心目掛けていく求心力が

わたしをそこに留めおくような


わたしの世界はそれが全景


誰かが強く輝くことで

失われていく輝きも

誰かが鈍く輝くことで

消されていく輝きも

流れの変化についていけずに

弾かれ消えていくことも

繋がっていたはずの手を離されて

サークルが失われてくことも


わたしにとっては関係ない

わたしにはぜんぶ関係ない


わたしの知らないわたしの色で

あなたが染めてしまった世界で

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夏に降る雪 日浦海里 @hiurakairi

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