どす黒いタール、あるいは金色の蜜のように粘つく――


 逆賊が潜む隠れ里。その一切を焼き尽くす。

 猜疑心に囚われた王の命にも忠実に従う男であったが、その里で自分の師を見かけ――

 古風な言い回しの中に、高貴さとその中にある苛烈さを感じ取れる短編作品。



 この作品で描かれている感情の強さは並々ならぬものがある。

 ただその発露を「強い言葉」という形ではなく、雅さすら感じられる言葉選びによって為しているので、
 表向きは穏やかに、けれども「既に手遅れ」である点が強調されている。

 荼毘の最中のような作品だった。