逆賊が潜む隠れ里。その一切を焼き尽くす。 猜疑心に囚われた王の命にも忠実に従う男であったが、その里で自分の師を見かけ―― 古風な言い回しの中に、高貴さとその中にある苛烈さを感じ取れる短編作品。・ この作品で描かれている感情の強さは並々ならぬものがある。 ただその発露を「強い言葉」という形ではなく、雅さすら感じられる言葉選びによって為しているので、 表向きは穏やかに、けれども「既に手遅れ」である点が強調されている。 荼毘の最中のような作品だった。
三尺下がって師の影を踏まず、の逆を行くような、師匠を追うため国の狗に成り下がり、鏖殺をも行う弟子の物語。漢詩のような麗句で飾った師へのどろりとした妄執の果てが壮絶でいい。外道に堕ちたのではなく、彼の道は師の影を踏み続けて追う獣道しかなかった。聖人君子だった師匠は弟子を堕とした罪のみで同じ地獄へ行ってくれる。違えた道が地獄で重なり合うようなどす黒い結末を彩る、煌びやかな紅炎の対比がまたとても素敵でした。性癖最高!