ADDITION 4

横谷昌資

ぼくたちは残酷から逃れることはできない

結局僕らは

“数が多い方が正しい”という論理から逃れることはできない


時代はもうマイノリティにとって

より前進することはあっても後退することはない流れになっている

そうかつて差別者が多数派として“正し”かったように

今度は我々がその座に就くのだ


それだけのこと


トランス女性を差別することにより

巡り巡ってシス女性も差別されることになって

でもそれがターフの望んでる世界なら

“そうならないようにしよう”と望む者は、悪人

でも、時代はその“悪人”にとって都合のいいように進んでいるから


僕らはいつまでもお互いを傷つけ合うだろう

でも、それを治し合うことだってできるはずだ


俺は“多種多様な人たち”

そしてあなたは“基本”で“基準”


女性やLGBTの社会進出を促進すれば

経済は活性化しブルーオーシャンが開拓できる

そう、よかったわね

ここでは男女やSOGIが平等だからそうするって発想じゃ

ないのね


人権はビジネス、政治利用の道具、祭りの材料

そりゃあ間違えながらその都度考えて

一歩一歩進んでいく、で文句はないさ

でも人権の根元を理解してないこんな運動じゃ


でも、そうは言っても世の中金なのよ

例えば、カウンセラーも貧乏人の話は聞けない


みんなで仲良く穏やかに幸せには暮らせない

でも、正しい答えだけが全てじゃないはずだ

僕らはいつまでもお互いを傷つけ合うだろう

でも、それを治し合うことだってできるはずだ


異性愛規範も男女二元論もその他のいろんなこといろいろも

いろいろ限界が来ているのだ

もう“このまま”ではいられなくなっている


ケースバイケースに一つ一つのことを考えて

その都度その都度自分の責任でもって意志を持って進んでいこう

でもこういう考え方が不利なのはよくわかってる

特に選挙では票が取れない

それよりも、今まで通り“これはこうだ”と

わかりやすい基準でもって一律的に進む方が、楽


よくわかってる

だけどそれでも

それでも

それでも


みんなで仲良く穏やかに幸せには暮らせない

でも、正しい答えだけが全てじゃないはずだ

僕らはいつまでもお互いを傷つけ合うだろう

でも、それを治し合うことだってできるはずだ


“この言葉は使っちゃいけないから使っちゃいけない”とか

“この表現はとにかく避けなければならない”とか

そういうんじゃなくて、そういうのよりも

もっと“どうすればみんなで幸せになれるんだろう?”って

そういう風に生きたいのだ


いつか来たる22世紀では

全ては“良い塩梅”になっていたらいいなあ

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