第58話 エピローグ 才能

 ヒガン髑髏の凄惨な事件から、4年の月日が流れていた。

 人生のわき役でしかなった文才亜里斗は、見事犯人に投票することができ、みんなの命を救うことに成功した。

 100人近い犠牲者を出したデスゲーム企画は、当然ならが連日マスコミに報道されることになるのだが、想像を超えるような内容でもないので割愛する。


 ただこのゲームのおかげ、とは口が裂けても言えないが、ゲームの生存者としてテレビに出た結果、阿久津未来はタレントとしてデビューし、テレビに出ない日はないくらいの人気者になった。

 彼女は子育ての才能が欲しいと言っていたから、これは純粋に彼女の実力なのだろう。

 亜里斗はあのとき、未来は真壁浩人とペアだと思っていたが、それは勘違だった。彼女は黒幕とは全然関係なかったのだ。


 ピロン、とスマホが鳴った。

 梅宮清明から写真が送られてきていた。

 デスゲームのあと、亜里斗は参加者の誰とも連絡を取っていなかったが、たまたまバイトで塾の講師をしていたとき、清明と再会したのだ。

 画像を開く。

 女子高生となった佐土原麻衣とのツーショットだった。

 今は修学旅行で京都にいるらしい。

 

 いや、正確にはツーショットではなかったようだ。

 清明の後ろに、黒い影のような靄が見える。

 清明曰く、目黒圭祐なのだそうだ。

 まだ成仏していなかったらしい。

 最初のころは、母親の愛に出て行くように言われ、姿を消していたが、最近になって日本一周を終えて、戻って来たらしい。

 清明に、憑りついている、という訳ではないらしい。


 とにかく、あの凄惨な経験をしたのにも関わらず、なんとかみんな元気を取り戻せて良かったと思う。

 ただし、ヒガン髑髏の報酬である「才能」とやらが、手に入ったのは良く分からなかった。

 あの後ヒガン髑髏の使者がやってきて、「願いを聞こう」みたいな流れになるかと思っていたが、何も起こらなかった。

 そのまま呪蓋が消えて、家に帰れるようになっただけだ。


 デスゲームに参加した直後は、ショックが大きすぎて、執筆活動ができていなかった。

 塾講師のバイトに慣れてきて、時間を持て余してきたので、最近になってまた、投稿サイトで連載をはじめた。

 もしも自分に「才能」があれば、連日ランキング上位で、評価やビューもたくさんつくだろうけど、まったくまって閑古鳥が鳴いていた。

 命を懸けて生き延びたのに、絶対的な才能を与えてくれるという餌は、ただのデマでしかなかったのだろうか?


 亜里斗はゲームをするため、何の気もなしに、テレビをつけた。

 何事か、テレビの中で騒ぎが起きていた。

 テロップを見て、亜里斗は体が震える思いだった。


 ああ!

 きっと、絶対的な才能とやらは、知らないうちに手に入れていたに違いない。

 今書いているこの作品は、きっと人気が出て、いずれ書籍化するにことだろう。


『ついに今! 25年前に起こった髑髏仮面殺人事件の犯人が逮捕されました!!』

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【閲覧注意】うわぁあああ!! 赤月カケヤ @kakeya_redmoon

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