第7話-かわいすぎ注意報-

「あっ、うーいーっ!!!!!ごめん!!ちょっと遅れた〜!!!」


そう言って晴は待ち合わせ場所に走ってに駆け寄ってきた。


5分ぐらいたいしたことないのに。

とおもいいつつ、晴を見て、自分は晴の姿を見て言葉を失った。


いつも晴はポニーテールでショーパンと軽めの服、といったラフな格好なのだが今日は違う。

ショッピングモールに行くからなのか、髪はハーフテールで、薄いグレーのトレーナーに膝丈の少しふわっとした黒のスカート。

といった甘辛ミックスなコーデ。


正直言って、すごいかわいい。元からのかわいさが服によってさらに引き出されている。


そしてなにより嬉しくてかわいいのが、晴がグレーのトレーナーを着ているということ。そして今日、自分もグレーのパーカーを着てるということ。

おんなじ色の服をたまたま着てきたというだけで、なんだか運命を感じてしまう。

ちょっとペアルックっぽくなっているのがすごく嬉しい。他の人から見たら、あんまりそうは見えないのかもしれないけれど。

自分は、それがたまらなく嬉しいんだ。


「んふ」


晴が突然笑みをこぼした。

自分がぽかんとしていると、


「んふふ〜、雨依ちゃん、私に見惚れてたなぁ〜〜??」


「なっ!?」


図星を突かれた自分は恥ずかしくなって目をそらす。

晴はそれを肯定とみなしたのか、にやにやしながらからかってくる。


「ね〜ぇ〜うーいーちゃーんー!私がかわいくて見惚れてたんでしょ!そ〜なんでしょぉ〜!んふふ」


自分のことをかわいいと思ってる晴が愛おしかったが、からかわれて反撃しないわけにはいかない。


「うん、かわいいと思ってるよ。髪も、服も、かわいいよ。もちろん、晴も。」


そう言うと、晴は数秒間フリーズした後、

みるみる顔を赤く染めあげて、こう言った。


「あ…ありがと…。う、ういも。雨依もかわいい、よ…。」


まるで自分がかわいいだなんて言われないとでも思っていた様な態度。

もじもじと恥じらう姿。

そして、自分に、「かわいい」と言ってくれたこと。


そのトリプルコンボで、自分のHPは残りわずかになった。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


バスに揺られ、晴の頭の上にある触角がぴょこんと揺れる。


その愛らしい触角をまじまじと見ていると、この空気感にさすがに耐えられないといったような顔で晴が話しかけてきた。


「ね、ねぇうい。新しいクラス、どう、?」


新しいクラスって。

晴と自分は一緒のクラスなのに。晴ったら動揺してかわいいなぁ。


そう、あのあとかわいいが爆発した晴がほんとにかわいいすぎて、


「晴、かわいい」


と連呼してたらこんなふうに照れて、動揺してるのだ。

そしてそこもかわいい。

かわいいの連鎖。最高。

ついついかわいすぎて頬が緩んでしまう。


「新しいクラスって。晴も一緒のクラスでしょ?小学校最後の1年間、一緒のクラスになれて良かったね。」


「そ、そうだね…。」


そういうと晴は恥ずかしさからなのか、また顔を赤くしていた。


そうこうしているうちにバスが止まった。もう着いたようだ。


「ほら、晴、行くよ。」


「う、うん!」


いつもとは逆の立場がなんだがくすぐったかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

死ぬほど君を。 かようろ @kayouro_kaku

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ