わかりあえない

明鏡止水

第1話

仲はいい。今は。

むかしは、十代、二十代のころは。

わかっているだろうに、大変だから、お金を稼がなくちゃだから。

だから構っていられない。

そんな関係の親子だった。

唯一わかってくれたのは当時の心療内科の先生だけだった。

学校に行くか行かないかよりも、元気になる、通常の状態に戻る方が先なのに。

どうして勉強をしていない!と机をバンバン叩き酔っ払って叱責していたのが父。

両親はわかっていなかった。

不安障害というものも。家庭がそのままこじれて子供がパニック障害になってしまうことも。うつ病も発症してしまう事も。

そもそも小児うつ、というものがあるという事も。

母に説明してもらった。先生から。

「なんだか私が悪いみたいにあの先生には言われた」

通信制の学校に車で向かう道すがら子供は乗り物恐怖症になった。

父は医者に話を聞いて、頭を抱えて戻ってきた。

通信制の学校についての資料を出してくれたのはきょうだいだった。

子供はドラマのようにカッコよく資料をばら撒きたくなって、読んだ後、廊下にパサァ!と資料を空中で広げて投げた。

母は激怒した。

せっかくきょうだいが印刷してくれたのになにしてるの!

ドラマや漫画のワンシーンになりたかっただけだ。

しかし、今では反省している。きょうだいに申し訳ない。

それ以外にも色んな病気で色んな迷惑をかけた。

子供は、成人し、車の免許を取った。

そこでも一波乱あった。つづくと碌な事がない。

おわり。

また会う日まで。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

わかりあえない 明鏡止水 @miuraharuma30

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ