第2話 姉の負け惜しみ
唇に唇が重なる。
「はぅ」
バッカみたい。私の目に写る彼はとても滑稽で、恐らく彼の目に写る私も同じ。頬が上気しているのは壊れたエアコンと通常と化した異常気象のせいだ。髪を乱れるがままにする。
キスってこんな感じなのかしら。彼の唇の形を記憶する。特別な何かはない。癖だ。少女漫画のような爽やかなキスができると思っていたわけではない、だけどそれ以外のことを考えられなくなるような甘ったるい刺激だとは思っていた。でも現に私はこんな深く考えてしまっている。キスはそんなにいいもんじゃない。でも何度もやりたくなってしまう。やはりやれない奴らは哀れだ。
「セフレの負け惜しみよ」
このどうしようもない時期を思い返した時にこんなことを言える大人になっていたい。
…できれば大人になる前に言いたい、もっと前に言いたい。
キスの日に何やってんの? 家猫のノラ @ienekononora0116
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