キスの日に何やってんの?

家猫のノラ

第1話 妹の負け惜しみ

唇に指を押し当てる。

「バッカみたいっ」

鏡に写る自分の姿はとても滑稽だった。頬が上気しているのは湯上がりのせいだ。髪をまとめて洗面所を出る。


キスってどんな感じなのかしら。指に残る感触を辿る。特別な何かがあるとは思えない。今だってこんなに深く考えてしまっているのだから興味がないと言ったら嘘になるけれど、そんなに何度もやりたいほどいいものなのかしら。バカらしくない?

「恋人がいない負け惜しみよ」

この日記を読み返した時にこんなことを言えるようにな大人になっていたい。

…できれば大人になる前に言いたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る