読んでて本当に痛い拷問描写

 久々に実家に帰省した男性と、その唯一の家族である義兄のお話。

 現代ものの、こう、えっと、なんだろう……とにかくすごいお話です。
 きっとジャンルで言ったら「暴力」みたいな感じ。
 本当に壮絶だし痛そうだしで、もう本当に凄まじい……。

 関係性の絶妙さがすごい。
 なかなかに不穏というか、いろいろ拗れたものを抱えてしまった兄弟なのですけれど、しかし基本的には互いを愛しているところが好きです。
 つい「いやいやなにもそんなことしなくても」と言いたくなってしまう凄惨な暴力行為に、でも同時に「とはいえ彼らは結局こうあるしかないのよね……」と思わされちゃうのがまたなんともせつない。

 はたして、一体どうなる・どうあるのが、この兄弟にとっての最善だったのか?
 「たら・れば」を考えたところで詮無いとは知りながらも、ついそんなことを考えてしまいます。

 いや、正直なところ、
「どうあれこの現状に落ち着いてしまえるだけの兄と弟なら、どのみちこうなっていた気がしなくもない」
 というのもあるんですけど。
 だってこのふたりはもう……相手への想いが大きすぎて……。

 男性から男性への暴力がたっぷり詰まった、栄養満点のお話でした。