怪異を祓う特殊機関

 ある日突然、「体の末端が糸になってほどける」という奇怪な現象に見舞われた人のお話。

 現代ファンタジー掌編、それもライトな設定とキャラクターが魅力の物語です。

 人知を超越したオカルティックな現象、その引き起こす事件に人知れず対応する秘密の組織。
 そこから派遣されてきたデコボココンビ、なんだかぶっきぼうな青年に、やたらよく喋る「先生」——と、こうして設定を軽く並べただけでもワクワクしてしまうところがとても好き。
 しっかりエンタメしてくれるというか、この「欲しいものをちゃんと出してくれる」感。素敵……。

 この愉快なバディのおふたりも魅力的なのですけれど、個人的になお好きなのが主人公。
 傍観者というか語り部的な立ち位置にいるため、そんなに目立っているわけではないのですけれど、でもチラチラ見えるその性格のなんとも魅力的なこと!
 ですます調のよく似合う、大人しく控えめな人物……ではあるのですけれど、その実しっかり芯があって、でも決して(物語の上では)でしゃばったりはしない感じがとても好みです。

 分量にしてわずか3,000文字強と、サクッと読めちゃうところも素敵。
 この先の彼らの活躍を気にさせてくれる、とてもワクワク感のある作品でした。