最終話 ハンメイ【ASMR】/いつもどおりのはずだったのに…

○純一の自室(深夜・冬)

   #クリスマスの夜。純一、ベッドでひとりで寝ている。

   SE 近づく廊下を歩く足音。

   SE ゆっくり扉が開く音。

   SE ゆっくり扉が閉まる音。


裡沙

「ふふっ……美也ちゃん、起きたらびっくりしちゃうかな。」

「部屋の前にプレゼントが置いてあって。」

「だけど、ねぇねからのクリスマスプレゼントだもん、きっと喜んでくれるよね。」


「……そして次は……。」


   SE 軽い足音。

   SE ベッドが軋む音。

   #裡沙、主人公の耳元まで近づき、そっと囁く。


裡沙

「メリー・クリスマス。聖なる夜にも来ちゃった。」

「今日は特別な日だから、特別な格好で来たんだ。」

「ただのサンタじゃなくて、バニーガールサンタの衣装だよ。」


「どう? 似合ってるかな……? 普通じゃつまらないと思って、いろいろ探したの。」

「ビキニサンタと悩んだんだけど、水着は前にも着てきたし、あなたはこういうほうが好きかなって思って。」

「それとね、ちゃんとプレゼントも持ってきたよ。」


「プレゼントは……あたし。あなたなら、あたしの全部をもらってくれて構わないもの。」

「えへへ……こんなこと、起きてるときに直接言えたらなぁ……。」

「でもいいの。今は、この瞬間を全力で味わわないと……。」


「よし……! 今日はクリスマスだし、最初から大胆になってもいいよね。」

「じゃ、じゃあ……まずはキスを……。」


   #裡沙、主人公の顔に近づき、主人公が起きていることに気づく。


裡沙

「あ、あれ……目が開いて……。」

「も、もしかして、目が覚めてるの……?」


   #裡沙、パニックになり後退りする。

   SE ドタバタ音。


裡沙

「ど、どどどど、どうしてですか!? 目が覚めるようなこと、まだ何もしてないのに!?」

「《これまで不思議に思ってた》……?」

「《朝起きたら、ポロツキーが置いてあったり》、《肩こりが治ってたり》、《床が濡れてたりしたから》……?」


「そ、それは……その……。でも、あたし、それ以外は気づかれるようなことしてないです!」

「この前のタイツの日から……? あの日に、もう起きてたんですか……!?」

「あ、ああ……そっか……そうだったんだ……。」


「もう、全部気づいちゃってたんですね……。」


   #裡沙、自虐的に話し始める。


裡沙

「……少し重い女って思いましたよね?」

「寝てる間に、勝手に会いに来て……好き勝手に盛り上がって……。」

「わかってるんです。あたしは、好きが高じてちょっとやりすぎちゃうから。」


「だからあなたも……こんなあたしのことは嫌いに――。」


   #裡沙、主人公の言葉に、はっと顔を上げて驚く。


裡沙

「えっ……? 《そんなことない》?」

「ど、どうして? 同情ならやめて――。」

「《それくらい好きだって気持ちが、伝わったから》……?」


「……なんですか、それ……。勝手に部屋に入ってきちゃったのに?」

「びしょ濡れビキニで上がりこんだのに?」

「今日のバニーガール姿だって似合ってないのに……?」


「それでも、いいんですか……? バニーガール、最高……?」

「ベランダには野良猫もよく来るから、少し大きめのバニーが来ても大歓迎……って……。」


   #裡沙、主人公の言葉でふっと気持ちが軽くなる。


裡沙

「ふふっ……ふふふっ……。」

「……やっぱり、あなたには勝てないな……。」

「そんなこと言われたら……抱きしめたくなっちゃう……!」


   #裡沙、感極まりガバッと主人公に抱きつく。

   #裡沙、主人公の耳元で熱っぽく独白する。


裡沙

「あたし……あなたが思っているより、ずっとずっと面倒くさいですよ?」

「本当に、いいんですね?」

「あたし……もう止まれないですよ?」


   #裡沙、主人公の唇にキスをする。


裡沙

「んっ……んんっ……。」


   #裡沙と主人公、キスを終えて見つめ合う。


裡沙

「……改めて、メリー・クリスマス。最高に聖夜になりました。」


   #裡沙、改めて主人公にギュッと抱きつき、耳元で囁く。


裡沙

「覚悟してください。もう一生、離さないから。」



《おしまい》


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『ASMRボイスドラマ アマガミ Vol.7 上崎裡沙編』(CV・門脇舞以)

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ASMRボイスドラマ アマガミ Vol.7 上崎裡沙編 監修・高山箕犀、鈴木悠太(シナリオ工房・月光)/ミミクル @mimicle_official

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