第2話 エドワードとの出会い
輝くシルバーの髪に鮮やかな菫色の瞳が特徴的な超絶美少年。
「皇太子殿下!?」
振り返った先にいたのはなんとエドワードだった。
(嘘でしょ…?本物のエドワード…?)
思いがけない出会いに頭はパニック状態だった。
それもそのはず自分の理想を詰め込んで設定を練り上げたキャラが目の前にいるのだ。
「しっー!大きな声を出したら誰か来ちゃう!」
「はっ、申し訳ございません…」
「ふふ。いいよ」
「あの、殿下はどうしてこちらに…?」
恐る恐る聞いてみる。本来ならこんなところにいるはずがないのだ。皇城だからありえないことはないのだけれど。今は令嬢たちを集めてのお茶会を開催している途中だ。だからどうしてここに彼がいるのか気になって仕方がなかった。
「…抜け出して来たんだ」
目の前で咲いている綺麗な花々を見ながらエドワードがボソッと呟いた。
「あー…授業をですか…」
「そう。段々と疲れて来てしまって…」
「…お疲れ様です」
ただの貴族令嬢でさえ礼儀作法やテーブルマナーやらダンスやら何かと勉強させられるのだ。
皇太子である彼が受ける授業がどれぐらい大変で過酷なものか想像に容易い。
「君は?君はどうしてここに?」
「実は私、今日のお茶会に参加しておりまして。でも友達がいなくて1人で…。退屈なのでここで少し休憩しようかと思って」
「そっか」
「はい…。貴族に生まれておいてあれですけどやっぱり貴族って生きづらいじゃないですか…?出来ることならずっと家に引き篭もっていたいです。どうせ1人ですし」
「あははは!それ僕に言う?」
「!ご、ごめんなさい。特に深い意図はなく…」
慌てて謝る私に彼は微笑んだ。
「でもその気持ち、僕にもわかるよ。さっきも言ったけれどね。…皇族に生まれてきたことに誇りはある。でも楽しいかと言われたら素直には頷けない。責任もあるしプレッシャーもあるし、ね」
「……殿下………」
「あぁ!そんな顔しないで!そこまで悲観しているわけじゃないんだ。ただ、たまには息抜きしないとね」
「…そうですね。息抜きは大事です」
「ねぇ、君は_____」
◆
そこからエドワードと色々なことを話した。
兄弟の話や普段何をして過ごしているのかとか。
…まぁ、作者だから全て知っている話ではあるが。
彼と話すのはとても楽しく、あっという間に時間が過ぎていった。
「あ、もうこんな時間だ。もう行かなきゃ…」
「!え、もう行くの?」
「申し訳ございませんっ!もうそろそろ帰らないと…」
「そっか…もっと君とお話ししたかったのになぁ…」
悲しそうに呟くエドワードに心臓がぎゅっと掴まれたように痛む。
「っ…でも行かなきゃ。…殿下!今日はありがとうございました!お話できて楽しかったです!!」
そう言ってその場から走って去ろうとした瞬間に後ろからエドワードの大きな声が聞こえた。
「ちょっと待って!君の名前は?」
「セレスティアです!」
対して私も大きな声で自分の名前を叫ぶ。
「それじゃあもう行きますね!」
「セレスティア、か…」
これが私とエドワードの出会いだった。
自作小説の脇役令嬢に転生しました。そしたらなんとイケメンたちに好かれてしまって!?〜私、地味なのにどうして…〜 夏みかん @momoka88
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