第5話

「そうです、ンジュ見てください。町を歩いていた時、優しい鉱石商の方が珍しい功績を安く売ってくれたんですよ」


 なるほど、だから手に鉱石を持っている訳か。それにしても·····品質の悪い鉄鉱石が珍しい鉱石か·····。


「そうか、ロコロコ·····安くと言ったがどのくらいだったんだ?」

「はい、50コで金貨2枚でいいと言ってくれたんです、優しい方ですね」


 なるほど、なるほど....。

 これは少し会って話してみたいな。


「ダメ·····でしたか?·····!」

「いいや、いい物を買ったね。ロコロコ·····そんな優しい鉱石商さんに自分も会ってみたいどこにいたか教えてくれるかな?」


「もちろんです、案内しますか〜?」

「大丈夫、場所さえ教えてくれれば自分で行けるよ」

「分かりました〜」


 ロコロコは優しいな。

 そんな優しいロコロコに安く鉱石を売ってくれた優しい鉱石商·····どんな人なのかな。


 ◇


「遅いですね。暗くなってしまいました。

 ·····ンジュになにか起きてなければいいのですが、何かあったら·····私は·····!」


 ロコロコの言った通り優しい鉱石商さんだった、芯の通った交渉をしたらそれ相応の対応をしてくれた。

 話のわかるのは良き心の持ち主だ。


「·····!、どうしたんたロコロコ」

「いえ、ンジュやイチジクが帰ってこないので·····なんでしょう胸がザワザワして·····」

「そうか、心配かけたね」


 そう思えば外は暗くなってしまっていたか、これは周りを見ていなかった自分の不注意だ、正さないと。


「ああ、イチジクを責めないであげてくれよちょうど帰る時偶然あってね、荷物を持ってもらっていたんだ」

「ンジュ、こんなに素材を買ってどうするんだ?俺たちは使わないぞ?」

「何かあったら使うかもしれない、なにかなかったら誰かに与えればいい·····物は持つべき者の元へだよ」


 ·····この言葉を言うのは自分ではなかったな、あの子は何時もものを大切にしろと泣きながら言っていたな。


「ンジュ、どうして暗い顔をしてるのですか?」

「·····!?。ンジュ!どこか痛いのか!?ロコロコ!癒す魔法だぞ!!」


 ·····そうだな。

 今は暗い表情をしてる場合ではなかった、最後のその時まで笑顔でなければ。


「イチヂク落ち着け、ロコロコも大丈夫だ。ただちよっと考え事をしていただけだ」

「考え事ってなんだぞ?」

「この町を出る日だ。ここですることはもう無いに等しい、だから明日にでもここを発とうと考えていたんだ」


「俺はンジュの指示に従うぞ!」

「私はイチジクと同じく、ンジュについて行きます」

「そうか·····わかった」


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六つの誓いは隔たりを越える 貝豆 @kLonOoo

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