ごめん……ありがとう




「……起きたか。久しぶりだなユート」


「……エ、エリー?」


 起きてすぐで目もかすんだままで、はっきり見えてないけど愛しい人の声を間違えるはずがなかった。

 僕は膝枕の体制から体を起こして、エリーに抱き着く。


「……心配したんだ、本当に」


「ごめん、本当にごめん!!」


 僕の涙がエリーの服を濡らす。

 

「ほら、もうすぐ我が家だ」


 外を見てみたら、見覚えのある景色が馬車の中から見えた。




 馬車が家の前に止まって、家の中にエリーと一緒に入っていく。

 久しぶりに入った家の中は少しほこりっぽかった。


「……お茶、入れるよ」


「……あぁ、頼む」


 前と同じようにテーブルに座ったエリーにお茶を注ぐ。


「……おいしい」


「……そっか」


「「……」」


 僕が約束を破ったこと、レティさんのこと、ソフィさんのこと。何から言ったらいいのかわからなくて、お互いに静かにお茶を飲む音だけが響く。

 そのまま、二人共のティーカップが空になるとエリーはゆっくりと口を開いた。


「ユート、ゆっくりでいいから『全部』を教えてくれないか…」


「……わかった」








「それ、で僕はエリーを、う、裏切って……」


「……そうか」


 これまでのことを全部エリーに話していったのをエリーは何も言わずに聞き続けた。

 

「私からは一つだけだ、ユート」



「帰ってきてくれて、ありがとう」



 僕は、僕は……。


「ただ、いま。エリー」


 僕らは抱き合ったまま互いのぬくもりを感じあった。









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この小説はここで終わりとなります。

不定期更新にもかかわらず、ずっと見ていてくれた方々本当にありがとうございました。

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奥さんはこわ~い女騎士 @belbera

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