一年が経ち……



 あの日から一年がたった。


「う~ん!今日も疲れたー!!」


「おかえり、ソフィリア」


「ぎゅーってして?」


 ドアの前で両手を広げたまま動かないソフィリアをいつものように抱きしめてあげる。


「はいはい」


「えへへ~~」


「ほら、ご飯作るから。ちょっとまってて?」


 そう言うと、ソフィリアは優しく僕のことを離してくれた。




「「いただきます」」


「うん!今日もおいしい」


「ありがと」


 やっぱり作ってもらったものを褒めてもらうのはすごくうれしいし、半年がたった時に料理をさせてもらえるようにしたのは本当によかったと思う。

 この家に1人でいる時間のさみしさも紛らわせられたし、包丁で少し工作もできたことはおおきかった。


「おかわり、ある?」


「あるよ。……はい、どうぞ」


 ソフィリアの細い体にどんどんご飯がなくなっていく様子はいつ見てもすごい。


「ふ~ごちそうさま」


 満足した様子のソフィリアに背を向けて、食器を洗い始めるとソファーに寝転んだソフィリアが僕に声をかけた。


「あ、そうだ。後で言うことあるから寝室に先に行ってて?」


「……わかった」


 だいたいこういうときは『僕に関する』よくないことが起こった時だって僕はしっていた。





「まだかな?」


 ベッドに腰をかけて待っていると、夜が深いこともあって寝そうになってしまう。

 うとうとしていると、ドアからソフィリアが入ってきた。


「お待たせ、待った?」


「いや、全然大丈夫だよ?」


「それで、話なんだけどさ?」


 言葉を吐き出す瞬間、部屋の空気が冷えた感じがした。



「団長が今日、私に『ユートはどこだ?』って聞いてきたんだけど何か知らない?」



 ソフィリアからの光のない視線が僕に突き刺さる。


「知らない」


 この情報でエリーに僕の情報が伝わったことが何となくわかった。

 だから、あとは待つだけと心に決めて僕は嘘をついた。


「……本当みたい」


「ごめんね?疑っちゃって?」


「ううん。気にしないで」


「今日はもう寝よっか?」


「うん」


 エリーが僕のことをまだ好きでいてくれていることがわかって、そして『もうすぐ会えるかもしれない』と僕の中に残っていたエリーへの気持ちがまた強くなった。










「……起きたか。久しぶりだなユート」



 

 


 


 


 

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