独自の観点から、ジェンダーという概念を考察した作品

ジェンダーフリーが叫ばれて久しい現代社会。
「自分らしく」生きる事は確かに素晴らしいが、中には「男性らしく」「女性らしく」生きて喜びや充実感を得られる人もいる。
男性、女性といった性表現と、自己同一性(アイデンティティー)が直結している人もいる。
個々の自由の尊重には、今まで言われていた「男らしさ」「女らしさ」といった性別にまつわる要素も含まなければならないのではないか、ひとえに今の社会は「男(女)らしさ」の強要が「自分らしさ」と入れ替わっているだけなのではないか、と、この作品を通じて気付かされました。
ポリコレやフェミニストの行き過ぎた活動による問題も発生している中で、この小説は今のジェンダーに関連する情勢とその本質を、読みやすく遊び心に長けた軽快な文章で的確に得ています。
性的マイノリティの人、性的マジョリティの人の割合が逆転するでもなく、対等になる事が一番望ましいと思います。