第十二話旅立ちの前日に

過保護なシロナたちに俺は数日間無理矢理休まされた。

体に不調などまるでないのにシロナと子供達が見張りについていてベッドで寝たきりのひいを過ごした。

正直俺にとっては逆に気が滅入りそうになっていたのでなんとか説得してようやく外に出してもらえることになって現在、冒険者ギルドにいる。


「アギト様からお話は伺っています。知っているのは一部の人間ですが皆あなたに感謝しています。鬼の納品も本来なら非常にありがたいです。魔物は全てが何かしらの素材になりますし中でも魔石は集まれば人間の生活できる範囲が広がって人類の希望が強くなるので。」


その言葉の割にどこか申し訳なさそうにしている。


「それでなのですが王都では一度にあずかれるのに3000体ぐらいしか余裕がないのです。群の一つを壊滅させたとあっては数万単位倒したであろう事実はわかっています。アギト様からそれらを規格外のアイテムボックスに所持されていることも確認済みです。それを腐らせるのはこちらも看過できる問題ではなくかと行ってそんなに一気に事を進めることもできない状況でして・・・。」


それで結局何が言いたいのかと少し焦れながら先を待った。


「それで、これはアギト様にも相談してない事なのですが私たちは私たちで他の町や国に輸送するのはもちろんなのですがその規格外のアイテムボックスを見込んでその輸送の方も協力していただきたく・・・。危険なのはもちろんわかっていますがお願いできないでしょうか。」


なるほど、それを頼みたくて歯切れが悪かったのか。

それを聞いて俺はどちらかと言うとあの荷物を運んでストーリーを進めていくゲームみたいな展開になりそうだ。

あれはゲームだから面白いと理解してるため面倒だなと思ってしまった。

だがそうも言っていられない、それが人類のためなら頑張るしかない。


「大丈夫ですよそれが人類の希望に繋がるってんなら引き受けますよ。」


俺が快く請け負って見せると安堵したように礼を言われた。そのあときっちり3000体鬼を納品して地図を貰いアギト宅に戻った。そしてシロナにそれを伝えると自分もついていくと主張してきてくれた。

最初から置いていくつもりはなかったが怯えることもなくてよかった。


「そういえば鬼ってだいぶ魔物の中では下の方って聞いたけど他にはどんなのがいるんだ?」


なんと話に聞いてみるとシロナが顔を強張らせて説明してくれた。


「魔物は小鬼、鬼、悪鬼、大鬼、奈落人、混沌児、地獄門徒、魔神の順に強くて鬼の説明は省くとして奈落人は焼け爛れた肌の人型の魔物で鬼とは比べ物にならないくらい強いよ。体を自由自在に変形させて襲ってくるし攻撃を受けるとクズ口が焼け爛れる。すごい痛いらしい。」


想像するに某死にゲーの主人公みたいな見た目で寄○獣みたいな攻撃とかができるって言う感じかな。


「混沌時は真っ黒のオーラを放ちながらすごいスピードで攻撃してくるんだけどこっちは近寄るだけで息ができなくなる上に攻撃を受けると取り込まれて一瞬で食べられるらしい。見た目は白い子供の集団らしいけど見ただけで恐怖で足がすくむから目撃者で生き残ったものは少ない。」


怖いな!まるっきりホラーじゃん!そんなのとどうやって戦うんだよ!


「地獄門徒と魔神はもう伝説で存在してるかもわからないけど地獄門徒は十三人いて全員揃えば魔神と同格の力ってことくらいしか伝承に残ってないし魔神はそもそも神様だから魔物を生み出す以外に世界に干渉してないだけで簡単に世界はほろぼせるけど他の神々が人類を守るために全ての力を使って今という状況を維持してるって話だよ。」


うわぁ。うわぁだよ本当。無理じゃね?世界を救うとか?ナマ言ってすいませんっした!


「そんなわけで神は基本的に外科医を見守るための暇がない。だから王族の一番素質がある人間に自分の目、つまりは下界を見守るための力を分け与えてくださってるわけだ。」


いつから話を聞いていたのかいきなり気になってはいたが聴けなかった話を披露するアギト。

一体どうしたのかと沈黙して見つめているとアギトはいきなりガシガシと頭をかきむしりあーもーと唸りながら最後に大きく息をついた。


「事後報告だがギルドからお前がギルドから話は聞いた。いくんだろう?」


ああと答えるとアギトはビシッと俺に指を突きつけてきた。


「約束しろ一月に一度は必ずここに戻ってくること!距離的に無理で多少遅れたとしても絶対定期的に帰ってこい!わかったな!」


俺はなんでそこまで心配するのかと疑問になって困惑しているとシロナが答えた。


「ジン。それはしょうがないことだよ。ジンの場合たとえどこかで生きていたとしても心が壊れてしまうんじゃないかって君の魂を観れる人間なら誰でも思うと思うよ。」


なんとも納得はいかないが安心させるためにそれが絶対必要だというのなら約束するしかない。


「ああわかった。子供達にも会いたいしな。子供の成長はあっという間だから俺もこ・ど・も・達に会いにいくよ。」


少しツンデレ気味だったかもしれないが照れ隠しにそう言わずにはいられない。

ここまで俺のことを気にしてくれた人間なんて家族とあいつらくらいしかいなかったから慣れてないんだ。


それから旅のあれこれについて一日中話して旅立ちの日の覚悟を固めた。


とにかく混沌児が怖い!


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最狂の白魔術師 その白魔術の使い方は狂ってやがる 仇桜 @MUSHIKIofBHC

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