第十一話某熱血テニスプレイヤーはきっと異世界に行ったら絶対に世界を救うことだろう
目がさめると俺はベッドにいてシロナが手を握り心配そうにこちらを伺っていた。
俺が目を覚ましたことに気づくとワンワンと泣き出した。
またかと呆れながらももう片方の手で頭を撫でる。
「シロナは泣き虫だなぁ。」
「ジンが泣かないから僕が泣いてあげてるんだよ。」
そんな意味のわからないことを涙声で言いながら俺を抱き寄せる。
俺はどうしていいかわからずワタワタと慌ててながらもどうすることもできずにそれを受け入れていることしかできない。
いつこんなに俺はこいつの好感度を上げたのか不思議でならない。
鬼の軍団の件が原因であるとするならちょろインかお前と言いたい。
だってあれほど一方的な戦いもそんなにないだろう。
見てたとしても楽勝に見えただろうし好感度は上がるどころか普通なら引くだろう。
なに?強い男に惚れるみたいな物語じゃないとありえない感性の持ち主なのお前。
そんな風に絶賛大混乱中の所アギトの家族が勢ぞろいで部屋に駆け込んできた。
なんて言い訳すればいいか。
「おお、みんな揃ってそんな慌ててどうしたんだ?何かいいことでもあったのかい?なんてな。」
とぼけていく方向で行こうと思ったんだがアギトの痛ましいものを見る目に困惑してしまった。
どういうことだろう前回はとんでもなく起こっていたのにそんな目で見られる心当たりがない。
「ジン、僕もアギト様も君の魂の状態、わかりやすくいうと君の心がはっきりと形になって見えてるんだよ。」
「うーん、そうだとしてなんなんだ?」
俺の魂だか心が見えたからってなんだっていうんだろう。意味がわからない。
「俺の心が二人にはどう見えるってんだ?」
それがわからなきゃ結局のところ意味がわからない。
「俺たちにはお前がそうやって平気そうに笑ってられるのが信じられないくらいの傷が見える。何があった。」
「あーうーんちょっと無茶な戦いしたんだよ。自分の攻撃のせいで死ぬかと思ったよ。あははーなんて。」
「シロナから鬼の軍を一つ壊滅させたことは聞いた。聞いた時は自分の耳を疑ったが嘘ついてないことは見ればわかったがそれぐらい無茶苦茶なことだ。俺でも無理だからなあまり無茶をするな。進軍が事前にわかっていたなら犠牲が出るような事態は起こらん。他の街に救援要請だってできるしお前らだけでなんとかしようとしなくても誰もお前たちを悪く思う奴はいない。」
「それでもやる必要があったんだよ。悪いな心配かけちまって。」
確かに俺一人が無茶したくらいでできたことだから街で戦いに備えて迎え撃てば全く問題なかったのかもしれない。
でもそれは街が無事だったというだけでシロナは救われないだろう。
今回のことがなんの力になったかはわからないがシロナが自分を攻めることだけは避けることができた。だから俺はとても満足してる。
それにしてもアギトの口ぶりからしてあの規模の魔物の軍団がいくつもあるのか。
その上白に言わせれば鬼は最弱級の魔物だ。
より強い魔物の軍団もあるはずだしこの世界って本当に詰んでいるな。
「なんでそこまで、とは思うけどな。だけどこれ以上は何もいうつもりはない。今じゃあ俺よりレベルも高いしお前の心が強いこともわかってる。危うすぎて心配なのはあまり変わらないけどな。」
そう言われては自分のステータスが気になってしまってレベルとスキルを確認したがレベルは48スキルは想像創造がⅡとバージョンアップさえてい流だけでスキルは増えていない。
まだレベルが50にもなっていない、それなのにアギトはもうすでに俺の方がアギトよりレベルが上だという。
はっきり言って意味がわからない。
「え?だってお前、神の眼とかとんでもないものを神から授かって冒険者として体制したんだろ?それなのに俺がもうお前よりレベル高いって嘘だろう?」
「いやレベルなんて普通はそんなポンポン一気に上がるもんじゃねえんだよ。神の眼だって強いからって理由で授かった訳だけでもねえし世界に影響を与えることができるお前が俺より強くなるのは当然のことなんだと俺は思うぞ。」
いや、でも、異世界に来てからまだ三日くらいだぜ?
それでこんなthe主人公みたいなやつより強くなったって信じられるか?
まあそれだけ人類は厳しいということなのかもしれない。
ぽ○もんやど○くえでもレベルが50もあれば戦いが楽になる。
そんな感じなのだろうか。
どうやら本当にとんでもない世界に来てしまったようだ。
「もうジンを休ませてあげてよ!」
「えっ全然大丈「そうだな行こうか。」
シロナが俺を休ませようとこの家の主であるアギトたちを追い出そうとして大丈夫だと言おうとした俺の言葉をアギトが遮り出て行った。
みんな本当に過保護すぎじゃないだろうか。
それをシロナにいうとシロナは怒った顔をして「ジンが自分を大事にしないからだよ!」と言ってまた抱きしめた。
「おいおいこのくらいでこんなに心配されちゃあ先が思いやられるっての。俺は決めたんだ。俺がこの世界の人類の希望ってやつになるってな。そのためにはもっと無茶はするし、俺が無茶しただけで救われる人間がいるってんなら俺はためらわない。あの漫画風にいうなら駆逐してやる一匹残らずってな。」
「僕のためならそんなことしなくていいよ!お願いだよ!ただそばにいてくれるだけでいいよ!」
「お前のためだけじゃないって。これは俺のためだ。俺が元の世界を捨ててまでこの世界に来たことを後悔しないために。生きていくために俺は世界を救う。」
まるで周りが見えない痛い目を見る恥ずかしい熱血主人公みたいだな。
そんな恥ずかしいことを言う俺にシロナは無理だとは言わなかった。
だけどやっぱり悲しそうに俺を見ていた。
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