2章

初めて会った時

視点が変わります。


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フリースト・コンヘラルはレーヴェリオ王国の筆頭公爵家当主だ。


領民にも部下にも冷酷非道と恐れられいつもビクビクされる。


必要なことを必要最低限でしているだけ。でも表情が変わりにくいせいか常に恐れられていた。



今日は違法娼館の摘発のための偵察で娼館に来ていた。


正直、こんなところでキャストなど取りたくないし、その気になれるとは思わなかった。


普通に考えて公爵本人が来るのはおかしいが、この娼館はBランクの冒険者しか入れない。


信頼のおける部下の中に冒険者カードを持っているものがいなかった。なのでただ1人のBランクであるフリーストが仕方なく来たのだ。



表からは分かりにくい入口で合言葉を言ってから入る。



「いらっしゃいませぇ。初めての方ですかぁ?」


中に入るとにこにこと胡散臭い笑みを浮かべた男が出てきて言った。


「こちらがキャスト名簿でありますぅ。隣に出来るプレイが乗ってますのでご参考にぃ」


一通り目を通すと1番下に何でもありと書いてあるのが見えた。


「こいつ…ラルム?はどんなplayもありなのに1番安いな。なんでだ?」


「はぁ、そいつはランクだけは高いんですけど見た目がね~。残念なんですよぉ」


元々1番安いキャストにしようと思っていたのもあり、ラルムを選んだ。



5分ほど待ってから部屋に案内された。


中で待っていたラルムに視線も心も身体も、全てが引き込まれた。


見た目が悪いなど全くの逆だった。綺麗な髪とつぶら瞳、透き通った肌、全てフリーストの好み度真ん中だった。


「初めましてご主人様。どうぞ好きにお使いください。」


不安や恐怖を必死で抑えて話しているのが分かる。


声をかけられて初めてラルムに見惚れていたことに気が付いた。


「っ、まずご主人様はやめろ。リーと呼べ…呼び捨てで良い。」


「り、リー?」


あたまをコテンと傾げ、少し怯えて困ったように言うラルムに胸がキュンとする。


「っ#good boy__いい子__#。本当にいい子だね」


頭を優しく撫でながら言うと目から怯えが取れた。


少し話したり命令したりする内になんとなく境遇も分かった。


1番衝撃的だったのは今までのplay内容だった。


最初にケアをした時に少し不思議そうな顔をしていたから理由を聞いてみた。


Commandを言ってやっと話してくれたのはあれが人生で2回目のcareだったということだ。


全く信じられなかった。普通のsubならcareをしなかったらすぐにdropしてしまうからだ。


その話を聞いてplay内容をすぐに変えた。


ここに来る前は適当に済ませて早く帰ることを考えていたが、出来るだけストレスを解消してあげることにした。


何をしても褒め、どろどろに甘やかした。


glareを怖がっている様子があったので最小限に抑えた。


それでも最後の方に少しでも顔色が良くなったことに安心した。


「#good boy__いい子__#よく頑張ったな。君は俺の理想のsubだ。」


そう言うとほわんと嬉しそうに表情が緩んだことに胸が温かくなった。


「まってろよ。必ず迎えに…」


頭を撫でながらそこまで言ったところで時間になった。

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虐げられたSubは冷酷非情な公爵に囲われる ねこ丸3号 @nekomaru3gou

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