ピリオド

だらく@らくだ

第1話


小学校六年生の諷利ふうとくんがある日の朝、起きると背中を何かが動いている事に気が付きました。手で触ってみると小さくて

ふわふわな何かが一生懸命に動いているみたい

でも自分ではそれが何だか分からないので

お母さんに見てもらうことにしました。

そして、見てもらいましたがお母さんには

何にも見えないそう。お父さんにも見てもらいましたが結果は同じでした。これは困ったなぁ……諷利くんは心配で朝ごはんがあまり

食べられません


それから学校に行った諷利くんでしたが、授業の時間も背中が気になって仕方ありません

何度も背中を触ったり、伸ばしたりするので

先生は諷利くんが痒いのでは無いかと思い、

昼休みに保健室へ連れて行きました。保健室で先生が授業中の諷利くんについて話すと、

保健室の先生は連れて来た先生を保健室から

出ていかせ、諷利くんと二人きりになりました。そして、保健室の先生は背中の秘密を教えてくれました。先生によれば背中に生えているのは小さな"羽"らしく、諷利くんともう一人にしか存在が確認出来ないらしいのです

でももしかしたらその一人は諷利くんの好きな子かもしれないと先生、余計な事も言ってしまいました。その余計な事のせいで諷利くんはすぐさま好きな子の背中を見に行きました。だけれどその背中はとってもすらっとしてるけれども羽の様な何かは見えません。

諷利くん、がっくりしたまま一日を終えてしまいました


放課後、自分の机で身体を伸ばして項垂うなだれていた諷利くん。そんな彼に誰かが

声をかけました。彼女の名前は菜々美ちゃん

諷利くんがまだ歩けない頃からの仲良しさん

です。諷利くんは隠してもしょうがないと思い、今日の事をみんな話しました。するて、

菜々美ちゃんは大笑いして「飛べない羽なんかに踊らされてどうするの」と言いました。

それを聞いて「はっ」となり、諷利くんはしゃきんと身体を伸ばして、教室を出ていきました。それからしばらくした後、菜々美ちゃんも教室を出て、帰路に着きました


帰り道、下を向いて菜々美ちゃんが歩いているとお母さんと遭遇しました。お母さんが羽

が生えているもう一人が見つかったのかを聞くと菜々美ちゃんはしばらく黙ってから「見つかった。しかも諷利だった」と答えました

お母さんはそれを聞くと「良かったじゃない

諷利くんとお揃いになれて」と嬉しそうに行言ったのですが、菜々美ちゃんは変わらず下を向いてばかりです。羽もすっかり下を向いてしまいましたが、それを知るのは諷利くん

か菜々美ちゃんだけ。でもお母さんは菜々美ちゃんの心情が何となく分かってきました。

そして、突然立ち止まって菜々美ちゃんは呟いたのです「違ったの」と。「何が?」とは

問わなかったお母さんですが、菜々美ちゃん

はぎゅっとお母さんの身体にしがみついて

「諷利の好きな人……私じゃ無かったの」

と言いながらわんわん泣きだしてしまいました。そうです、菜々美ちゃんは諷利くんがお揃いの羽だと気づいたら告白するつもりだったのです。けど諷利くんは菜々美ちゃん以外が好きな事を話してしまいました。それに羽だって最後までお揃いな事に気づけ無かった

のです。お母さんはわんわん泣く菜々美ちゃんをただぎゅっと抱き締めます。お母さんは

菜々美ちゃんの気持ちが良く分かりました。

だってお母さんもその昔、同じに羽が生えたけど墜落した一人でした。


この背中に生える羽の別名はピリオド、片思いしている男女にしか生えない不思議な羽。

さて、ピリオドが打たれた菜々美ちゃんは

次に誰を好きになってしまうのでしょう





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