私の一歩

yusumai

私の一歩

あと、どれくらいの時間こんなふうに、

あなたと過ごせるのか。

最近そんなことを考えることが

増えた気がします。

あなたと出会ってからは、まるで産まれたばかりの赤子のように全てのことが新鮮で、

輝いているように感じられました。

あなたはいつも私に優しく言葉を投げかけてきてくれましたね。私にはその言葉の意味は分かりません、でも、でも確かにあなたの温かさを感じることができました。

それが嬉しくて、ちょっと悔しくて。

そんな日々がずっと続けばいいと強く願っていました。

でもあなたと私の一歩は残酷な程に違いすぎるから、歩幅を合わせようとしても貴方は

どんどん先に進んでしまうのですね。

その隙間を埋めたくて必死に歩幅を合わせようとしてもそれはきっと叶わない。

だからせめて、せめて最後まであなたの

そばに、居させてください。

こんな無力で臆病な私に出来る最後の恩返しを

させてください。



「ねぇ〇〇」

「私、〇〇と過ごした時間、すごく、、

幸せだったよ。」

「〇〇がどう思ってるのか私にはどうやってもわかってあげられないけど。」

「あなたも、、そうだったらいいな」

私が初めて聞いたあなたの言葉、

私が初めてあなたに言った言葉、

もう一度聞きたかった言葉、

もう一度かけたかった言葉、

たった二文字のその言葉を今はただ欲してしまう。


「〇〇!さんぽいく?」

「ワン!」


静かで冷たいあなたの横で、私はただ、

ぼやけた映像を静かに見続けていた。







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