第42話 平和への道
エンマタイが支配する地の民の最大の穴が塞がり、全ての地の民の穴が閉じてしまった。
ミコは力を出し尽くし、その場に倒れこんだ。
地震や火砕流がなくなり、避難していた山の民や他の民たちが次々と現れた。
そして、溶岩や火砕流で荒れ果てた領域を見て驚き悲しんだ。
ルイとレミルとジルたちは、ミコの元に行き、傷の様子を見た。
ミコは少し傷を負っているものの、命に別状はないようだ。
ルイは力を出し尽くして、倒れているミコに薬草の水を与えて治療した。
ミコはしばらくして目を覚まし、戦いが終わったことを確認した。
そして、傷ついた体を起こして立ち上がった。
エンマタイは地の底で、痛めた目を隠し悔しがっていた。
「なぜ、私があいつらにやられなければならないのだ!あの憎きミコにしてやられた」
と言い放ち、洞窟の出入り口に向かった。
しかし、大きな洞穴をはじめ、全ての洞穴が岩で塞がっている上に、地の民にとって苦手な光を発していたため、近づくことさえできなかった。
エンマタイは、悔しがりながらも手出しすることもできず、地の中で地の民と共に、生きていくしかなくなったのだ。
一方、地上では大きな犠牲のもとに地の民に勝利した喜びと、戦いの終結による安堵の念が広がる中、多くの仲間の犠牲に涙が流れた。
立ち上がったミコは、地の民との戦いが終わったことを山の民を始め、すべての民に告げた。
そして、卑弥呼の最後の願いである山の民の領域の復旧を伝えたのだった。
山の民は卑弥呼を失い、多くの仲間が地の民に打ち破られたことを胸に、荒らされた場所の復興に全力を尽くすことを誓ったのだった。
火の民は激しい戦いに勝利した喜びや、ミコの素晴らしい知恵、そして山の民の結束力など、あらゆる要素が火の民を超えていることに感銘を受けた。
それが彼らが地の民にも勝利した理由であると、チヒラも感じ取っていた。
そこで彼は、ジルとレミルを山の民から引き離し、山の民の結束力を弱めるのではなく、火の民に山の民の不思議な力を受け継ぐことを選んだのだ。
この結果、勾玉と杖は火の民に渡されたが、ジルとレミルは山の民の元にとどまることができた。
ルイは山の民を始め、全ての民の病気を癒し、サジにも劣らない信頼を得ていた。
ミコは地の民との戦いの後、あまり表には出ずに、得意とするダウジングの水晶を弟子たちと共に求めて歩いた。
彼女たちが見つけ出した水晶は不思議な力を持つ人々へと受け継がれ、そして、次の世代へと広がっていくのだった。
卑弥呼伝説 星月夜 @ayuob
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