第4話お腹を満たすのが先
少女に連れられてきたのは、旅館の宴会などが行われてる様なだだぴろっい部屋。
大きな長方形のテーブルをつなげてあり、テーブルの上には沢山の料理が並べられていた。
ゴクリという音と、ぐきゅると同時に鳴ってしまい赤面してしまう。
「ふふ、やっぱりお腹すいてたやないの、いっぱい食べい」
少女に引っ張られて、テーブルの誕生日席のような場所に連れてかれると、そのまま座られてしまう。
「うちの隣やから、欲しいもんあったらすきぐに取ってあげるから」
とにっこりと微笑む顔はやはりとても美しく見惚れてしまいそうになる。
見惚れていた少しの間に、いつの間にか周りが賑やかになってきていた。
朝からドタバタしていて、冷静に周りを見れてなかったからか、当たり前の事に気づく。
「角…?」
そんないろんな角を頭につけて、服も昔の江戸時代とか古い和服でもあり、
中華的な民族衣装みたいなそんな格好をしている…。服と人の姿だけなら、もしかしてコスプレなんて一瞬考えたけれど
肌の色が違う人、頭から繋がってる角はどう見ても血が繋がっているように見える。
「角怖いなら、隠してもろたろか?」
美少女がにっこりと微笑みながら聞いてくる。
「い、いえ…あの…」やはりほとんど言葉が紡げず黙っていたが身体はそれよりも
ぎゅるるるるる…
空腹を求めていた…(恥ずかしい…
「ふふっ!先に腹を満たしてからの話やね」
前のテーブルにあるものから、美少女は色々、小皿に乗せてくれた。
「ほら♡あーんやで?」
かわいい…!!や、そうではなく、そこは流石に恥ずかしい!!それに周りの方々の目線が痛い!!(人かどうかもわからないけど)
「じ、自分で食べれますー!!えと、そのスプーン?貸してください!」
「あら、もったいない、うちから、『あーん』なんて滅多にないのにっ」
「恥ずかしいです…すみません…」
「甘えてくれてええのに~。でも好きなもん自分で食べたいなら仕方ないね」
違う意味で捉えられるけど、それでもいいのです。周りの目がさらに痛くなってきていたたまれないので早く食べてここから抜け出したい。
そんな私の気持ちをよそに、子供に持たせるように渡してくれたスプーンで目の前の食べものを口にする。
一瞬、これ食べたらもう帰れないのかもと手が止まりそうなった。
けれど美少女と周りの目は私の行動をずっとみていて食べないという選択は無さそう。
(食べないと死ぬし!これは生存のため!)
勢いで目の前にある見た目は普通の魚の味噌煮込みらしきものを口にする。
………お、美味しい…。
疲れていたのかお腹が本当に減っていたのか涙を流しながら目の前の食べ物をパクパクとたべる私を美少女は微笑みながら見ている。
「美味しいよかったわ…沢山食べておき。人間が此処にくる事は本当に大変で、疲れやすくなるから…」
「むぐ…そ、それはどういう…」
「半分死んでるようなもんというかね、曖昧な存在なんよね。」
「え」
「そろそろ食べ終わりそう?ご飯食べ終わったら着替えよか。」
確かにお腹は膨れてきたし、食べ終わりいつものようにご馳走様を言おうとすると
「拷、片付けはよろしゅう」
「はい」
またもや、力強い力で引っ張られて、廊下にでる。
「うわわわ、あ、あの、まだご馳走様とか後作った人にお礼とか…」
「しー…ここではその言葉は駄目。お礼…ふふ。お客様だから別にええんやで?でも今は駄目やね。名前も得体もしれかい人間に優しい奴はほぼ居ないから」
…まあ、それは確かにと思いつつ今更ながらそういえば私はこの子の名前しらないなとふと考えていた。
「うちの名?気になる?」
「え?なんで…?声に出して…」
「なんでやろね~まあ仕組みは追々教えてあげるわ♡」
「それよりも、色々話するにも名はないと大変やし、名を教えよか」
「うちの名は…」
運命の出会いは異世界で ちえ汰 @tieta
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