第3話 キャラメイク


んんっ。冷たくて硬い感触が私の背中にあたってる。寝苦しいのが我慢できずに体を起こす。


私、何で床で寝てるんだ?そう思って顔をあげると、


そこは、古めかしい洋風の館の中が広がっていた。



「ようこそ、Fortuna Online <フォルトゥーナ オンライン>へ」


そして、目の前には胡散臭そうな笑みをうかべた顔が恐ろしく整った黒髪に髪を後ろに束ねている赤い瞳の執事もいた。


「胡散臭いなんて悲しこといいますね」


「え、全然悲しそうに見えない」



・・・



「ごほん、話しがそれましたね。ようこそいらっしゃいました」



「あなたは…いやそれよりもTVを見せた後に床にころがせるなんて運営め」



「申し訳ございません。わたしめもなぜあなた様がこの床で寝ていたのかは分かりかねません。通常、動画を見られたお方は後ろのドアから入ってこられるのですがあなた様は気づいたらそこで寝ていらっしゃったので」



ドア?そう思い後ろを振り向くとTVを見た後に白い空間で現れたドアと同じ形をしたものがあった。



そうだ。このドアが現れたから一歩踏み出そうとしたら急に、急に?


何かあったけ?急に意識を失ったとか?



「ドアの前で意識を失ったみたい」


「それは…。失礼かもしれませんが、睡眠が足りていないのでは?」


「そんことあるかい!!」


「冗談です。すぐにシステムを確認してみます」


そう言い、何やら執事の前に半透明のディスプレイが出現しそれをいじりだした。




少しすると、ディスプレイをいじるのをやめた。


「おや。おかしいですね。不具合は起きてないのですが。」


困った風にそれを眺めている。



「あの~、執事さん。そろそろ進めてほしいんですが」


「失礼しました。不具合は確認できませんでしたが、バグの発見した方はバグ報告のお礼という形で褒賞を与えていますので、お詫びというのは何ですが3PSお受け取りください。あと、わたしは管理者AIを務めさせていただいているハーメルと言います。」


へー。AIなんだ。コスプレしている人間、運営と話していると思ってたわ。



SPは少ないのか、微妙なところだけど、もらえるなら貰っとこう。



「では、改めましてようこそいらっしゃいました荷口 理愛様。この世界はあなたを歓迎します」




Oh, NPCに個人情報をにぎられている。




「その辺りは、ご心配には及びません。管理者権限をもったわたくしめ、アバター作成を円滑に進めるために今回限り、そちらの世界の名前を使わせてもらいましたが、アバター名の入力が終わり次第、言いなおしますので。では早速ですが、アバターネームをご記入ください」 


 「ニアで、」 |




にぐち りあの最初と最後を取って。安直かもしれないけど、これ私じゃなくて、綾がつけたんだ。



「おや、早いですね。もう、アバターネームはなおせませんがよろしいですか?」


「いいよ」


「次はアバターの作成と種族の選択ですね。種族は通常、人間、エルフ、ドワーフ、獣人|(猫、犬)が選べます。」


「アバターはこちらのタッチパネルを使い自分好みに作成してください。注意事項として性別を変えることはできますが、骨格の違いからこちらの世界では最初違和感を持つ可能性があります。それと身長の調節は50cmまでのほうがよろしいかと。現実とここでの身長の差でこの世界で苦労すると思うので。あと、人間以外の種族はアバターに一部変更がおきます。エルフは耳が長く、ドワーフは身長が低く、獣人は獣の耳、しっぽがつきます。獣人の場合は血の濃さが選べます。血が濃いほど獣に近い部分が表に現れます」



確かに。そんだけ差があったら視点の位置ずれやこけたり大変そう。まぁ性別や種族を変えるのに興味ないし、いいかな。



「分かった」 


 う~ん、あんまりいじらなくていいかな。


「ちなみにランダムで元から作られているアバター提供もございます。」


ランダム~?


「ランダムって現実との体型の差で苦しむ予想があるんだけど」


「むしろ逆です。ランダムと言われていますが、違います。これは###が選びますので、最もあなた様に適した体になります」


なんか途中、聞き取れなかったけど。誰かが選ぶのってランダムじゃないじゃん。



「本当に体になじむの?」


にっこり



うぅ。アバターが体になじむんだったら、攻略もはかどりそうだけど。誰かに選ばれるのがちょっと。


ええい、女は度胸。



「じゃあランダムで」



「本当に早く終わるので助かりますね」にっこり


毒づかれた。他の人はもっと長そうだもんね。いつも待ってるのかな。


「なんかお疲れ様です」



「いえいえ。ランダムの場合、アバターはこちらでは確認出来ませんのであちらで確認してください」


なんでだろう


「なんで」


「申し訳ございません。仕様としかお答えできません」


はぁ。そうなんだ。


「分かった」



「では、続きまして職業をお選びください」



私の前に職業の種類が多く書かれた半透明のディスプレイが現れた。



ディスプレイをさわり、スクロールして、お目当ての職業を探す。


「あった。治癒士」


意外だと思うだろう。だが、回復役は違うゲームで何回か経験したことがるんだぜ。


それに綾と相馬とパーティーと組む時、必要だろう。綾と相馬のプレイスタイルはどうせ、綾が攻撃力ましましの純魔法使いで相馬は軽装のシーフか何かだろう。



本当は盾使いか、防御力の高い僧侶のほうがバランスがいいと思うけど、私、盾役絶望的に向いてないんだよね。敵の攻撃盾で受け止めて、耐えるっていう時点で盾投げ捨てて殴りかかりたくなっちゃうし。


まぁ、相馬が回避盾になるか、誰かしら盾役入れればいいか。


そう思い、治癒士を選ぶ。




「治癒士の初期ステータスはこちらになります」




 STR 7



 DEF 7



 INT 16



 AGI 7



 DEX 10



 MID 14



 LUIK 9










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Fortuna Online <フォルトゥーナ オンライン> ネロ偽者 @haserin323

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