第2話 TV
『Fortuna Online <フォルトゥーナ オンライン>』開始時刻が10時。今は、朝の9時57分。
土曜日は、いつもは9時に起きるが、今日は早起きして6時半には起きた。
「いよいよだ」
ー ダウンロード中ただいま、お待ちください ー
『Fortuna Online <フォルトゥーナ オンライン>』製作会社には苦い思い出しかないけど、PVやβテスターの内容は好評だ。それに、職業のバリエーションが多く、いろんなことが楽しめるとか。これをやらないゲーマーはいないだろう。
/ ダウンロード終了
「いざ、」
ゲームのスイッチを入れると私の意識は暗転した。
- TVの視聴が可能ですが視聴しますか。
/ YES.
/ NO.
うん?あたりが真っ暗な空間にいると思ったら、真っ白い文字が視界の真ん中に強調されている。なになに、TV、動画の視聴が可能と。
ふむふむ。ここでNOとか押したらどうなんだろう。
そう思っていたら。ピコンと音が鳴り、視界にディスプレイが浮かび上がり、NOを押しますと、TVはもう見れなくなりますがよろしいですかと表示されてしまった。あ~。もう見れなくなるのはなんだかもったいない気がするな。視聴可能なYESを押すか。
/ YES. ←
/ NO .
YESっと。そう選択すると。唐突に360度どこでも見れるスクリーンが始まった。
___
かつて、神々は人間が住む下界と神々の住む天界を行き来して暮らしていた。
下界は、どの種族も手を取り、共存している楽園であった。
動物、生き物が食料で困れば豊穣の女神が土に息を吹きかけ、食べられる植物を生み出し、雨が降らず植物が枯れそうになると水の神が雨を降らせ、傷ついたものがいれば癒しの女神が癒し、凍えそうなものがいれば火の神があたたかな火であたためる。そうして、何もかもが満ち足りた世界で穏やかに暮らしていました。
ですが、平穏は長くは続きませんでした。
ある人間の王が力を得るために精霊や神獣を生け捕りにし、檻に閉じ込めたのでした。
その蛮行が神々に知れ渡った頃には殺されている精霊や神獣もいました。そのことに神々は怒り狂いました。
神々はこのことにかかわった人間を罰していきました。
ですが、知性をつかさどる神がすぐにおかしことに気づきます。
人間程度の力で精霊や神獣を檻に閉じ込めることなど出来ないと。誰かが人間に力を貸してると言う。
神々が言う。いったい誰がと。殺された神獣の中には神にも匹敵する力を持つものもいた。それこそ神が力を貸さないと…
そう口に出した瞬間世界が揺れました。
邪悪なまがまがしい気配が人間の集落の方からたちあがりました。
そこから、この世界には存在しない異形のモンスターと言われるものなどが現れました。
モンスターの侵略により、多くのものが死んでいきました。人も動物も精霊も神獣も神さえも。
だれにも止め得られないそう思ったその時、一人の人間が立ち上がりました。一人の人間は人間たちをまとめ上げ、モンスターとただ戦いました。
人間達は自分たちが壊した楽園を保ってくれていた精霊や神獣、神をかばっていきました。少しでも彼らが逃げる時間を稼ぐために。
そのことに精霊や神獣、神々は怒りました。
「なぜ逃げない。俺たちより力の弱いお前たちがなぜ我々をかばう。我々の力を欲した罪人のくせに」
男が言う。
木から落ちたとき助けてくれた。
女が言う。
凍え死にそうなとき、火をともしてくれた。
子供がいう。
友達と喧嘩した時して怪我したところを直してくれた。
多く人間が言った。ありがとうと。
その言葉を聞いた精霊や神獣、神々は、逃げるのをやめ、モンスターを人間とともに協力して倒していきました。
そうして、親玉のモンスター、今の時代では魔王と呼ばれる個体を倒すことに成功しました。
ですが、その代償として精霊や神獣、神々は力が弱まり、多くのものが眠り、多くのものが目に見えなくなりました。
神々は言いました。
「私たちはこの地、お前たちと共にあり」と、
こうして、楽園は失われ、下界は人間やエルフ、ドワーフ、獣人の統治となりました。
ー 視聴は以上で終了です ー
映像が消えて、白い空間出てドアが現れた。
これ、テレビで見たPVのこの世界の成り立ちだよね。
なんか黒幕をほのめかす言いようがあったけど、まぁ、あとあとプレイヤーが謎を解いていくのかな。
あと、何でモンスターが出現した時、エルフなどの種族が登場しなかったのは謎だ。
そう思いながら目の前に現れた扉を見る。
このドアから次に行くの感じか。そう思い、一歩踏み出すと、私の周りがテレビが壊れたような画面になってバグる。
私は不思議な体験をした。先ほどの第三者視点ではなく私じゃない誰かの視点で物語を見た。
人の集落に森に火が突然とつき、私は火に囲われた。それが現実ではなくても、熱いと思ってしまう。
すごい音がしたほうを見たら黒い獣が次々と見るものすべてを破壊していた。私は、火の中に入ってきた誰かに抱えられ、その場から集落から離れていく。その時に黒い獣と目があった。黒い獣は赤い目が特徴的でそれ以外は夜、暗闇がまとわりついていてその全貌は分からなかった。ただ、私と目が合うと私に向かって手を伸ばしていたような気がした____
そんな不思議な体験をした。
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