第41話 ダンジョン攻略終了

 5層に向かう階段まで少しだけ魔物が出たがスケルトンよりも弱い魔物だったため、軽く鉄を飛ばすだけでどうにかなった。


 そしてすぐに階段までたどり着き、階段を降りるとすぐに開けた場所が広がっていた。


 5層という区切りのいい階層。元々、ボス部屋だったのだろう。


 階層ボスは一度倒された場合、時間が経つと復活する。その時間はダンジョンのそれぞれの階によって個別に決まっている。


 さっきのスケルトンキングが5層のボスでここから上がってきたと言う可能性が考えられるが多分違うだろう。あいつは下級ダンジョンの5層程度のモンスターの強さではなかった。


 最近で言うと希少種の猫もどきと同レベルかそれ以上の強さだったため神格ダンジョンの30層クラス以上。そんなのレベルの魔物が地方のそこら中にあるダンジョンの最深部以外で出現するとは考えられない。


 考えられるのは猫と同じく自然発生の希少種。


 だが、階層のレベルと魔物のレベルがあそこまで違う希少種が出現するのか?


 普通、希少種はそのダンジョンのプラス10階程度の強さである。


 今回のはおかしい。


 というか、そもそも希少種は殆ど出現しないから希少なのだ。そんなのとこんな短期間で遭遇するなんて相当な確率だ。


 前回のは偶然として、俺たち新入生がいるタイミングでの出現。タイミングが悪すぎる。意図的に配置された可能性を疑ってしまうレベルだ。


 そもそも魔物をそんなことができるのかわからないがその可能性がある。


 それに今回のスケルトンキングは魔道具を落とさなかった。


 まだ見たことのない種類の魔物? それとも人工の魔物?


 後者だったら意図的に配置されていることも納得できるが。


 魔物を人工的に作れるのか?


 わからない。


 どう考えてもオリエンテーションとしては難易度が高すぎる。下手したら死者が出ていた可能性だってある。もしこれがオリエンテーションの一環ならその辺を学校側は把握していない訳がない。


 完璧なイレギュラーモンスター。


 とりあえず学校側がどこまで把握しているか後で聞く必要があるな。


 そう思いながら歩いていると、部屋が暗くなる。


 めんどくさいのがくる。


 そう思った瞬間に部屋の周り炎が灯され、天井から大きな巨体が降って来た。


「一旦下がれ」


 その言葉に全員が下がると目の前に岩の巨人が落ちてくる。


 大きな重い音が響き、地面が揺れる。そして巨人が叫びだした。


 このタイミングでボスが復活したか。やっぱ俺がついていないだけか。


「少し待ってろ。俺が片付ける」


 そう指示して俺は無数の鉄を生み出す。

 これがオリエンテーションの一部であったとしても今はそれどころじゃない。


 とりあえず、一撃で倒す。


 あの魔物がスケルトンと同格でなく本来のレベルの魔物なら鉄による攻撃で貫くのは容易だ。


「出てまもないが仕事は終わりだ」


 俺が手を上げると俺の周りから鉄が飛び出し、全てが巨人を貫き穴だらけにした。


 巨人は粉々に砕け散っていき、魔石だけが地面に落ち、それと同時に部屋の明かりが元に戻る。


 瞬殺できた。やはり俺のレベル感覚はおかしくなかった。あのスケルトンが異常だった。


 俺は魔石を拾いながら後ろを向いて


「終わったからさっさとこの部屋を出るぞ」


 と声をかける。そんな俺をみんなが唖然とした様子で見ていた。


「ぼーっとしてないで早くいくぞ」


 俺がそう言うと我に返ったみんなが頷き、そして俺を追いかけてきた。


 歩いていると間後ろの方はざわついていた。後ろの方から


「やっぱり先輩は最強なんですよ」


 とヒカリが力説する声が聞こえてくる。


 本当にヒカリはこんな状況でも変わらないな。



 部屋を出ると端っこに先生らしき人が立っているのが見える。


 先生は歩いてくる俺に、


「お疲れ様です。これでダンジョン攻略は終了です」


 と告げる。


 初めて見る教師。一応、教師なので俺のことは知っていそうだ。


「君たちは2番目ですね」


 他の奴が言ってた通り俺たちより前にいたか。


 そいつらがやった可能性...はないな。

 あのレベルの魔物を操れるなら他を妨害する必要がないし、そもそもオリエンテーションで妨害する必要はない。


 一応、一つの仮説として頭の中に入れておけばいい。


「えっと、ユヅキくんとチームメイトは…」


 と先生が後ろをみる。名簿を見た後、俺の後方を見る。それで後ろにいた他の生徒にも気づく。


「後ろにも結構のチームが来てますね。ここはダンジョンなのでみなさん確認が終わったら円盤に乗って外に出てください」


 先生は俺たちにそうお願いをする。


「さて、まずはユヅキくんのチーム、ヒカリさんとブレイムくんきてください」


 と俺たちを呼ぶ。


 軍団の最後尾にいたヒカリと男が前に出てくる。ヒカリは駆け足で俺の右隣まで来る。そして、ヒカリとは逆、左隣にブレイムが並ぶ。


 あの炎の男、ブレイムっていうのか。ちゃんと覚えておこう。


と考えていると


「はい。全員揃っていますね。これでオリエンテーションは終了です。これからの予定は外で全員揃ってからしますので、まずはそこの円盤に乗ってダンジョンの入り口まで戻ってください」


 と先生に言われて俺たちは円盤の方まで歩いた。


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最年少のダンジョン完全攻略者はダンジョン攻略を辞めて学校に通いたい 吹雪く吹雪 @hubuku_hubuki

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