第40話 合同チーム

座っているクラスメイトのところに向かって歩いていると、


「流石だね。ユヅキ」


と声をかけられる。

振り返るとカイラがいた。


「カイラもいたのか。えっと。大丈夫だったか?」


見た感じ疲れているようだが、怪我とかはなさそうだ。


「ああ。ユヅキが来てくれたからなんとか」

「そっか。ならよかったけど、どうしてこんなことになったんだ?」

「それが僕もわからないんだ。僕たちが来た時にはスケルトンで溢れかえっていたからね」

「そうか」


カイラたちが来た時にはボスが出現していた。と言うことはかなり前からボスがいたってことか。だとしたら、元からいた魔物かもしれない。


状況把握するために最初に入ったグループを探すか。


「カイラ、お前たちより先にこの部屋にいたチームわかるか?」


そう聞くと


「あそこに座ってる人達かな」


と指を差す。指差された方を見ると、3人の男が腰を下ろしている。


俺は彼らに近づいて声をかける。


「少し聞きたいことがあるんだがいいか?」


そう言うと、長身の男が返答する。


「なんだ?」

「さっきの魔物について聞きたいんだけどいいか?」


そう言うと、3人は顔を見合わせて、うなずく。俺は3人と向かい合わせにしゃがんで話を始める。


「さっきの魔物はいつからこの部屋にいたんだ?」


そう聞くと、長身の男が答える。


「俺たちがいた時にはもう既にいた」


ボスは初めからいたのか。ただあのボスはここのレベルじゃないし、ここまで上がってきたとするなら、それはダンジョンのバランスを崩壊させる程のイレギュラーだ。何か原因がある筈。


「君たちより先にいたチームは?」


そう聞くと、またも顔を見合わせる。そして、


「俺たちより先に1チームいたけど、あの魔物の群れを抜けて先に行ったよ」


と答える。


あの魔物の群れを抜けたか。それだけ実力があったか、それともまだそこまでスケルトンが湧いていなかったか。


「魔物の数はどれくらいだった?」

「えっと、今の100分の1くらいだったかな」


俺がきた時には5000程いた。その100分の1ということは50。彼らがこの部屋に入ったのはあの魔物が出現してまもない頃だったということ。


「俺たちはあのでかいのに気を取られて、ここに残ってしまった。その結果、魔物が増えて対処できなくて」


そう言う男に対して


「そっか。わかった。頑張ったな」


そう言って俺は立ち上がり3人に


「後少ししたら、俺たちと一緒に次の階に降りてもらう。それでいいか?」


と聞く。


「ああ。助かる。今の俺たちじゃ、疲れてまともに戦えないからな」


と長身の男が答え2人もそれに頷く。


「じゃあ、また」


そう言って俺はカイラたちの元に戻った。


カイラの隣にはヒカリと炎の男、それにカイラと一緒にチームを組んでいたエミ、ネネが立っていた。どうやらカイラの元に全員集合していたみたいだ。


ヒカリと炎の男は喧嘩しないで集まったか。よかった。


「ユヅキくん。凄かったですね」

「スケルトンが一瞬で倒せるなんてねー」


とエミとネネが褒めてくる。


「何かいいこと聞けた?」

「あの魔物が出現したばかりだったってことがわかったよ」


俺はカイラにそう答える。カイラは何か思うことがありそうだったが、


「そっか」


とだけ答えた。


「彼らより先に次の階に降りた人達がいるみたいだから、後はその人達に話を聞くことにするよ」

「ならユヅキ、次の階に降りるのかい?」


俺は頷き、答える。


「ああ。みんな疲れているだろうから俺が戦闘をしながら先生が待つところまで向かう」


俺がそう言うとカイラは


「ユヅキも疲れているんじゃ」


と心配してくる。


「俺はダンジョンで1週間以上戦い続けた経験があるから、あれくらいならこの後も問題なく戦える。だから安心してついてこい」


そう言うと、ヒカリが


「流石、先輩です」


と目を輝かせる。


「はは。やっぱりユヅキには勝てそうにないな。ふっ、ユヅキがそういうなら頼らせてもらう」


そう言ってカイラは微笑んだ。


「後少ししたら行こうと思ってるから、その旨を他の人たちに伝えてくれ」


しばらくすると、カイラたちが戻ってきて俺に話しかけてくる。


「ユヅキ。みんな準備が出来たそうだ」


俺は頷いてみんなに声をかける。


「じゃあ下に降りる。ついてきてくれ」


そう言って歩き始める。そして、ついてきたカイラたちに


「俺が先頭を歩くから、5人は後ろを頼む」


と伝える。


「わかった」


とカイラが代表して返答する。


この中でもかなり強い5人なら安心して後ろを任せることができる。


俺は出てきた魔物を倒すことに専念する。


「頼んだ」


俺がそう言うと5人は後方に向かう。ヒカリは少し後ろに行くのを嫌がっていたが、全員行ったので渋々後ろについて行った。


そうして準備ができた俺たちは下の階に降りた。

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